研究課題/領域番号 |
17K01481
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
薗村 貴弘 朝日大学, 歯学部, 准教授 (40347092)
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研究分担者 |
本間 智 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40285581)
古田 貴寛 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (60314184)
大平 耕司 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (80402832)
松田 和郎 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80444446)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 味覚 / 中枢神経系 / ブレインマシーンインターフェイス |
研究実績の概要 |
近年のBMIの進歩はめざましく、自分の脳で思い描いた通りに自由に動く義手や、聾者の聴覚を回復させる人工内耳の開発も盛んに行われている。しかし、味覚を喪失してしまった人に対する味覚BMIの試みは未だ行われていない。口腔の主な機能は栄養の摂取であるが、人生の最後まで美味しく、かつ、安心安全にものを食すること、口から味を感じながら生活することは、QOLの向上に極めて重要である。そこで、本研究では、脳内味覚回路がヒトに近似している霊長類の中でも、我が国で積極的に使われているコモン・マーモセットに対して、最新の細胞外記録法として注目されているjuxtacellular recording法を用いることにより脳内の味覚地図を解明し、味覚BMIの開発に向けた基礎的データを供給すること目指している。本研究の最終目的でもある美味しさを感じられる人工の舌を完成させるためには「美味しさ」を感じる味覚の回路を解明する必要がある。脳内の味覚回路の中には、比較的原始的な「生存のための摂食行動」を引き起こす味覚と、より高次機能としての「美味しさ」を感じる味覚は途中から分岐し異なる経路を形成している。現時点では、その分岐点とされる一次味覚野や島皮質以降の味覚脳内回路はあまり分かっておらず、美味しいと感じる味覚地図の多くはほとんど空白のままである。そこで、現在、高次認知と情動とを統合する役割を持つ「島皮質」を美味しいと感じる味覚回路の重要ポイントと位置づけて、その先の解析を進めている。しかし、本研究課題が開始された2017年4月に研究代表者が所属先を異動し、新たな研究環境の再起ち上げを行っているため、必ずしも順調には研究が進行していない。次年度は、今年度に整備した研究環境を活用し、新規の研究成果が蓄積されていくことが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題が採択された2017年4月に研究代表者が所属先を異動し、新たな研究環境の再起ち上げを行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、所属先を異動により、研究環境の変化に対応するためにかなりの時間と労力が必要とされた。特に、実験室のノイズの除去と振動防止において改善に時間が必要であったが、これまでの環境整備と条件検討で多くの部分が改善されたため、今年度に整備した研究環境、および共同研究者との連携を活用し、より多くの個体で脳内味覚回路の機能的かつ高解像度の三次元形態解析を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属先の異動のため、新規の業務への対応に時間を割かざるを得ず、当初予定していた研究打ち合わせや学会出張が減少し、旅費の使用が少なくなったため少額の次年度使用額が発生したが、次年度にはその研究打ち合わせが次年度にずれ込んだ分、研究打ち合わせを早急に行う必要があり、年度の早い時期に使用する計画である。
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