研究実績の概要 |
脳卒中リハビリテーションの麻痺回復に関連した分子機構の解明とそれら麻痺回復に関連する機能的分子を活性化させる薬剤投与により、脳内の神経可塑性を誘起し、さらなる機能回復を目指すものである。 〇 脳梗塞後の麻痺回復に関連した大脳皮質タンパク翻訳後修飾の変動 前年度の研究により、脳梗塞後の前肢・後肢の機能回復に関わる大脳皮質支配領域の特定がなされ、本年度はその神経可塑性が生じていると考えられる領域のからタンパク質を抽出し、リン酸化プロテオーム解析を実施した。 脳梗塞後、running wheel を用いた訓練 (訓練有り:EX群, 訓練無し:CNT群)によりrotarodを用いた運動学的機能検査において歩行持続時間が増加し、有意な機能回復が得られた。EX群とCNT群の比較(各群n=4)によるリン酸化プロテオーム解析の結果702種類のリン酸化ペプチドで有意な変化が観察された。変動のあったペプチドタンパクについてKEGG Database を用いた pathway 解析を行ったところ、cAMP signaling pathway, Wnt signaling pathway, ErbB signaling pathway, MAPK signaling pathway等の関与が示唆された。またリン酸化部位によりタンパクの機能が活性化や阻害など大幅に変化することから、個々のタンパク質についてリン酸化部位と機能についての関連性の解析を行い、麻痺回復に関わる脳内機能的分子の特定について、更なる解析を行う予定である。
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