研究実績の概要 |
本研究は、脳卒中リハビリテーションの麻痺回復に関連した分子機構・機能的分子の解明により、さらなる機能回復を目指している。脳梗塞モデル動物に、梗塞後2日目からrunning wheelを用いた訓練(訓練有り:EX群, 訓練無し:CNT群)を行い、rotarodを用いた運動学的機能検査を実施した。その結果、脳梗塞後2日目に差は認められなかったが、脳梗塞6日後の歩行持続時間はCNT群で25.2±15.0 sec, EX群で73.7±12.7 sec となり、2日目から6日目の歩行持続時間増加量はEX群で60.5±10.7sec, CNT群で11.3±13.9 sec で、およそ5倍の増加を示し有意な機能回復が認められた。 EX群とCNT群の比較(各群n=4)による大脳皮質リン酸化プロテオーム解析の結果702種類のリン酸化タンパクで有意な変化があり、さらにDAVIDによるKEGG pathway解析を行ったところ、cAMP signaling pathway, Glutamatergic synapse, MAPK signaling pathwayなどの関与が示唆された。翻訳後修飾の中で最も一般的なリン酸化はタンパク質の機能調節を担っており、プロテインキナーゼにおいても同様に、脱リン酸化・リン酸化により不活性化や活性化される。そのため前述のpathwayの中でリン酸化修飾に変化があったプロテインキナーゼを解析したとろ、Calcium/calmodulin-dependent protein kinase, Protein kinase C, cAMP-dependent protein kinase, Mitogen-activated protein kinase, など15種類のプロテインキナーゼが直接もしくは間接的に機能回復に関与している可能性が示唆された。
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