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2017 年度 実施状況報告書

新規開発する刺激法による老化に伴う疾患発症の作用機序解明とその利用発展の検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K01484
研究機関藤田保健衛生大学

研究代表者

山田 晃司  藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 教授 (60278306)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード骨粗鬆症
研究実績の概要

転倒を予防する平衡感覚を養う装置と骨折治癒時に老化した細胞を活性化する刺激方法である振動刺激に、新規の振盪刺激を組み合わせたコンビネーション刺激装置の開発を行っている。振盪刺激は水平盤が前後、左右に揺れその上で両足を踏ん張り、等張性および等尺性運動を強制し、腱を介して付着する骨へ刺激を及ぼす。その効果について卵巣摘出術を施した骨密度低下マウスを作成し、腰椎を採取して骨組織標本を作製し骨形態計測法を用いて解析を行った。また、骨格筋から分泌される運動誘発サイトカイン(マイオカイン)が血液を介して骨細胞の活性化を誘発する新規メカニズムを解明するため筋発現タンパク質の解析を行った。その結果、類骨幅(O.Th)、類骨量(OV/BV)、骨石灰化速度(MAR)において対象群である刺激なし群に比べ刺激あり群が有意に高い値を示した(p<0.05)。また、下肢帯におけるBMP-2、IL-1β、IL-6、MyoDの発現解析においても刺激あり群が刺激なし群に比べ有意に高い値を示した(p<0.05)。類骨量(OV/BV)や骨石灰化速度(MAR)が高い値を示したことからこの刺激が骨形成を促進している可能性が推察された。また、BMP-2やIL-1βが刺激あり群で高い値を示したことから骨代謝が現在進行形で活発に行われている可能性が示唆された。腰椎は骨粗鬆症が原因で骨折する好発部位の1つで体幹の深部にあり刺激をすることが困難であると言われている。その腰椎において新規に開発しているコンビネーション刺激装置による刺激で一定の効果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規に振動と振盪刺激を組み合わせた刺激装置の開発を行っている。その効果について卵巣摘出術を施した骨密度低下マウスを作成し、腰椎を採取して骨組織標本を作製し骨形態計測法を用いて解析を行った。実験群と対照群の各6匹ずつ2群に分け、実験群は1日1回30分間の刺激を6日間連続して行い、1日休息するスケジュールを10週間継続して行った。骨形態計測法を用いて直接計測により一次パラメーターである類骨量(OV)、類骨面(OS)、類骨幅(O.Th)、骨芽細胞数(N.Ob)、多核破骨細胞数(N.Mu.Oc)などを算出した。この結果、OV、OS、O.Thで刺激あり群は刺激なし群に比べ有意に高い値を示した(p< 0.01)。また、N.ObとN.Mu.Ocに有意差は認められなかったものの、刺激あり群が刺激なし群に比べ高い値を示した。さらに、一次パラメーターをもとに二次パラメーターを算出した。骨量/ 組織量(BV/TV)、骨梁幅(Tb.Th)、骨梁数(Tb.N)、骨梁間隙(Tb.Sp)、類骨量/骨量(OV/BV)、骨石灰化速度(MAR)、骨形成速度/ 組織量(BFR/TV)などを算出した。その結果、OV/BVとBFR/TVは、刺激あり群は刺激なし群に比べ有意に高い値を示した(p< 0.05)、またMARは、刺激あり群は刺激なし群に比べ有意に高い値を示した(p<0.01)。また、筋タンパク質発現解析では、大腿四頭筋の筋溶液を作成し、ELISA法にて発現解析を行った結果、BMP-2、IL-1β、IL-6はいずれも刺激あり群が刺激なし群に比べ有意に高い値を示した(p<0.05)。IL-15は刺激あり群が刺激なし群に比べ有意に高い値を示した(p<0.01)。また、Western Blotting法によりMyoDの発現解析を行った結果、刺激あり群が刺激なし群に比べ有意に高い値を示した(p<0.05)。

今後の研究の推進方策

骨形態計測法を用いての腰椎の解析結果では一次パラメーターであるN.ObとN.Mu.Ocに有意差は認められなかった。また、二次パラメーターであるBV/TV、Tb.Th、Tb.N、Tb.Spも有意な差は認められなかった。しかし、新規に開発しているコンビネーション刺激装置による刺激で一定の効果が得られた。骨粗鬆症が原因で骨折する好発部位の1つに大腿骨頚部の骨折がある。再度、腰椎と同様な刺激条件で刺激を行い、大腿骨においても解析を進めて行きたい。また、筋タンパク質発現解析では、大腿四頭筋でBMP-2、IL-1beta、IL-6、IL-15がいずれも刺激なし群に比べ刺激あり群で高い値を示した。また、筋肥大の指標となるMyoDの発現においても刺激あり群が刺激なし群に比べ高い値を示した。新規に開発を進めている振動と振盪刺激を組み合わせたコンビネーション刺激装置による刺激が筋肥大を促していることが示唆され、今後、発現するマイオカインの特定を行って行きたい。その際、サイトカインが96種類スポットされているCytokine Array&#8211;Mouse Cytokine 抗体 Array Membrane(abcam: ab193659)を用いて網羅的解析を行う予定である。それにはIL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17などのインターロイキンをはじめ、IGF、Leptin、Osteoprotegerinなど多彩なサイトカインが網羅されている。その結果からマイオカインの特定解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

老化に伴う遅筋化について速筋から遅筋へのスィッチタンパク質でマイオカインの1つであるPGC1alphaやその反対の作用を持つFOXO1について免疫組織化学染色、Western blot法により解析を行う予定であったが、実験の遅れによる実施できていない。その分の助成金を翌年度分と合算する。大腿骨の骨形態計測法による解析Cytokine Array&#8211;Mouse Cytokine 抗体 Array Membrane(abcam: ab193659)を用いて網羅的解析を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 老齢モデルマウスにおける振動振盪刺激による腰椎への影響2017

    • 著者名/発表者名
      鬼頭巧
    • 学会等名
      第40回生命科学系学会合同年次大会
  • [学会発表] 骨密度低下モデルマウスを用いて骨粗鬆症を予防する新規刺激法の検討2017

    • 著者名/発表者名
      姚潤宏
    • 学会等名
      第40回生命科学系学会合同年次大会

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公開日: 2018-12-17  

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