研究課題/領域番号 |
17K01489
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
越久 仁敬 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20252512)
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研究分担者 |
佐藤 晋 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (40378691)
室 繁郎 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60344454)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | COPD増悪因子 / 嚥下障害 / 呼吸と嚥下の協調性 / ディープラーニング / バイオフィードバック |
研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は慢性進行性の疾患であるが、増悪により症状が進行し予後が悪化する。我々は、無拘束長時間嚥下活動記録解析システム(Yagi et al., MBEC in press; 特許5353479号および特許6049889号、以下「嚥下モニター」という)を開発し、2014年よりCOPD患者の増悪イベントと覚醒時の嚥下状態との関連性を前向きに観察研究してきた。そして、中間解析の結果、嚥下の前か後に吸息する頻度が高い患者群は増悪しやすいことが明らかとなった。本研究では、以下の課題を実行して、COPD増悪予防のための全く新しい呼吸リハビリテーション手法の確立を目指し、1)前向きの増悪イベントと誤嚥リスク、肺機能低下、画像上の気腫の進行との関連性を明らかにする。2)睡眠時の自然嚥下の呼吸-嚥下パターン、嚥下状態を計測解析し、覚醒時の状態との関連性を明らかにし、3)呼吸-嚥下パターンをバイオフィードバックによって改善させることが可能かどうか明らかにすることが目的である。 これまでの研究で、嚥下前後に吸息を行う頻度が高い(>20%)患者群では増悪を起こしやすいことが明らかになった(Nagami S, Oku Y, et al. Breathing-swallowing discoordination associated with frequent exacerbation of COPD. BMJ Open Resp Res 4(1): e000202, 2017)。そこで、これらの患者の追跡調査を行い、予後、嚥下前後の呼吸パターンと肺機能低下、画像上の気腫の進行との関連性を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
睡眠時の呼吸‐嚥下パターンの解析については、我々の開発した嚥下モニター(Yagi et al., MBEC 55(6):1001-1017, 2017)での解析結果と、オトガイ下(舌骨上筋群)と甲状舌骨筋の筋電図からの目視による嚥下の検出結果の一致度が悪く、まずreliableな睡眠中の嚥下検出アルゴリズムの確立が必要と考えられた。そこで、テスト食嚥下時の嚥下データと様々な生理的(咳、会話、いびきなど)・非生理的(衣類の磨れる音、首振りに伴うノイズなど)信号データからディープラーニングによって嚥下を検出するアルゴリズムを開発している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、COPD患者群において、追跡調査を継続するとともに、ディープラーニングによる睡眠時の嚥下検出アルゴリズムを完成させ、まず健常者でテストする。
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次年度使用額が生じた理由 |
睡眠時の嚥下解析アルゴリズムの開発が遅れているために、睡眠時嚥下モニタリングにあてていた経費が未使用額として次年度に繰り越された。睡眠時の嚥下解析アルゴリズムの開発ができしだい、睡眠時嚥下モニタリング検査費用として使用する予定である。
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