研究実績の概要 |
最終年度は、短期間(2週間)のハイブリッド方式による介入(E-EMS)が筋の量的および質的変化に影響を与えるかについて,健常人を対象とした基礎研究として実施した。 健常成人男性27名(21.8±1.2歳)を対象とし,対象者をControl群,EMS群,E-EMS群に無作為に分類した。EMS群は約20分間の電気刺激を,E-EMS群は約20分間の電気刺激に自動運動によるベッド上サイクリングを実施した。電気刺激強度は耐えうる最大強度とし,週に3~5回の介入を2週間継続した。Control群は筋力に影響を与えない程度の通常の生活とした。介入前後の比較項目は身体特性(身長・体重・体脂肪率など),大腿・下腿周径,筋厚,筋輝度,膝伸展筋力とした。その結果,介入前後の比較においてEMS群,E-EMS群共に実施後の中間広筋の筋輝度は有意に低値を示した。さらにE-EMS群では,内側広筋・中間広筋・大腿直筋の筋厚が有意に高値を示した。また各群の実施前後の変化量の比較では,E-EMS群はControl群と比べて内側広筋・大腿直筋の筋輝度が有意に低値を示し,EMS群とEMSサイクリング群の間には有意差は認められなかった。以上の結果から,ハイブリット方式による電気刺激は筋の量および質に対して有効であることが明らかとなった。 さらに臨床研究として,高齢急性心不全患者に対する入院早期からの骨格筋電気刺激が骨格筋量,筋萎縮,筋力低下進行の予防に対する有効性を検討した。18名の高齢急性心不全患者をランダムに振り分け,早期から骨格筋電気刺激と通常リハビリテーションを実施する介入群と,通常リハビリテーションのみ実施するcontrol群において,2週間後の骨格筋機能を比較検討した。その結果,介入群は筋厚の維持が認められ,筋力は有意に改善したことから,早期からの骨格筋電気刺激の導入の有用性と安全性が示唆された。
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