研究実績の概要 |
本研究では脳梗塞後の課題特異的訓練を用いたリハビリテーションによる神経回路変化がどのようなメカニズムにおいて起こるのかを、解剖および分子の両面で明らかにすることを目的として実験、解析を行っている。これまでの研究から、脳梗塞後にskilled forelimb reaching taskを用いて課題特異的訓練を行うと皮質脊髄路のリモデリングを促進することができ、それにより運動野の再構成および課題特異的機能回復が起こることが示された(Okabe et al. Neuroscience, 2016, Okabe et al., Neural Regen Res, 2017)。しかし、skilled forelimb reaching taskによる課題特異的訓練は訓練されていない行動試験では機能の回復を示さず(Okabe et al., PLOS ONE, 2017)、ELISAを用いた解析でもBDNFの発現変化がみられなかった。そこで初年度の研究では、幾つかのリハビリテーションを比較することにより研究に最適なリハビリテーション法を再検討した。実験ではskilled forelimb reaching taskの他に拘束誘導運動療法(CIMT)、ロータロッド、トレッドミルを使用した。この実験から重症の脳梗塞モデルにおいてはCIMTのみが皮質脊髄路投射を増加し機能回復を促進することが明らかになった(Okabe et al., Exp Neurol, in press)。CIMTは拘束を施せば訓練の手間がない、1日24時間継続した訓練が可能であるなどの利点もあり、今後の研究に有用なリハビリテーション法であると考えられ、次年度ではCIMTを用いての遺伝子発現解析を行うこととした。
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