研究課題/領域番号 |
17K01494
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
松嶋 康之 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10412660)
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研究分担者 |
佐伯 覚 産業医科大学, 医学部, 教授 (20269070)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ポストポリオ症候群 / 経頭蓋直流電気刺激療法 / 疲労 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
ポストポリオ症候群と経頭蓋直流電気刺激療法(tDCS)について最新の文献検索を行い、過去の報告をもとに研究の方法を再検討し、プロトコールを作成した。本大学倫理委員会専門委員会で研究課題の実施について審査を受け、承認された。ポリオ後遺症者1例に対して予備的研究を実施し、具体的な評価方法、介入方法を検討した。症例は60歳代、女性。ポリオ後遺症による四肢麻痺があり、電動車いすで移動し、上肢機能障害、巧緻機能障害を認めていた。tDCSを4回行い、介入前後で評価を行った。刺激は、陽極電極を左右の運動前野領域、陰極電極を左肩に設置し、2mAで20分間実施した。tDCS直後に巧緻動作が著明に向上し、箸が使用しやすくなり、コップの把持が容易になった。また介入前後で疲労感、睡眠時間、睡眠の質が改善し、高い満足度が得られた。有害事象として左肩の陰極電極部の発赤を生じたが、電極のパッドを工夫することで改善した。tDCSは脳卒中後の上肢麻痺の回復に有効であることが知られているが、本症例のようにポリオ後遺症者の上肢麻痺に対してもtDCSによって上肢機能が向上する可能性があることが示唆された。ポリオ後遺症者では下肢麻痺のある症例が多いが、上肢麻痺のある症例ではtDCSによって上肢機能が向上するか検討する必要があり、本研究の評価項目として、上肢機能評価を追加することとした。予備的研究をもとに、具体的な介入方法、評価方法を再検討し、ランダム化比較試験のプロトコールを作成し、対象者のリクルートを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
tDCSの刺激方法の確認が必要で、予備的研究を行った。予備的研究をもとに、具体的な介入方法、評価方法を再検討する必要を生じたために、予定よりも時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
研究参加者は数例集まっており、ランダム化比較試験を開始する予定である。 研究参加者が予定よりも少ないために、参加者の募集を強化する。その1つとしてポリオ患者会の集会で本研究についての概要を説明して参加者を募る予定とした。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)直流電気刺激装置の購入費を予算よりも少なくできたことが理由のひとつである。また、研究開始がやや遅れ、研究を開始しないと使用できない消耗品である実験用試薬を購入できていないこと、謝金や成果発表のための旅費、その他の費用が少なかったこと等も理由である。 (使用計画)研究を進めるにあたり、昨年度購入できなかった実験用試薬や直流電気刺激装置の消耗品、参加者への謝金を使用する。成果発表として海外学会への発表、国内の学会への発表を予定しており、旅費を使用する。
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