研究課題/領域番号 |
17K01495
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
越智 景子 東京工科大学, メディア学部, 助教 (20623713)
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研究分担者 |
小野 順貴 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (80334259)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発話障害 / リハビリテーション / 音声 / 吃音 |
研究実績の概要 |
本研究は、吃音症の言語訓練のための携帯端末のアプリを開発することを目的としている。言語訓練の中でも広く用いられてその有効性が示されている、流暢性形成訓練を対象とし、その自動評価を行うものである。自動評価を携帯端末で実現する利点は、日常での訓練音声が汎化できるよう自宅などで毎日練習ができるようになることである。とくに、吃音臨床を行う臨床家の不足により頻繁に通院できない状況にある患者にとっては、音声の自動評価により適切な発話練習が行われているかどうかを確認することができる。本年度は、幼児に対象を広げるさいの準備として幼児の音声の収集と発話速度の分析を行った。幼児の会話音声を収集して、発話単位についてそのモーラ長や構音速度を測定した。また、吃音症状や対話相手の直前の発話から当該幼児の発言までの時間(発話交代時間)を測定した。その結果、発話速度は吃音症状の有無による有意差はみられなかったものの、吃症状がある発話は有意に長くかつ発話交代時間は長かった。この知見から、訓練に使う単語は短いものだけではなく長いものも使い、発話生成の負荷を適切に調整する必要があることが示唆された。また、成人については、吃音症状の生起の特徴を調べるため音声の分析を実施した。そこでは、本研究が対象とする阻止(ブロック)症状の生起は音読で多く起こり、対話やモノローグにおいては少なかった。対話やモノローグでは発話内容を話者が選択できるため、阻止を回避するため語の挿入や言い換えが行われていることが示唆される。したがって提案システムを使った発話練習では言い換えで避けることができないよう指定した文章の音読含めて実施する必要があることが示唆された。また、昨年度作成したライトコンタクトの自動評価法について、その画像による提示機能を追加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ネットワークを利用したアプリの開発の進捗が遅れているため、患者による長期訓練の実施とその有効性の検証実験の進展が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
アプリのインターネット上の公開により、広く被検者を募集することを検討している。それにより、同意を得た被検者の発話の改善状況を調べ、提案する言語訓練アプリの有効性を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
言語訓練システムのアプリの有効性の検証のために被験者実験を予定しているが、予定が遅れているためその費用と結果の論文公開の費用が支出されていないことから次年度に上記を実施して支出を行う予定である。具体的には、アプリの登録費用、録音音声の収集のためのサーバーの使用料、実験謝金、分析を行う技術補助員の謝金を予定している。
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