研究課題/領域番号 |
17K01499
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上村 純一 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (70467322)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 体性感覚 / 脳磁計 / 脳機能結合 |
研究実績の概要 |
H31年度は、前年度に作成した体性感覚想起課題を利用し、課題実施による関連脳領域間での脳機能結合の影響(オフライン効果)を検討した。 健常成人15名(20-22歳)を対象とした。感覚イメージ課題は右手首をブラシで擦る動きを記録した連続動画を見ながら、擦られた際の感覚を20分間イメージするものである。この課題前後に体性感覚誘発脳磁場の記録を行った。得られた反応について関心領域((刺激側に対して)左SI、左SII、右SII)を設定し、各周波数帯域(α、β、γ)でPhase Locking Value(PLV)を算出した。課題前後で対応のあるt検定を用いて比較した。左SI―右SII間ではβ帯域PLVが有意に増加し(p < 0.05)、右SII―左SII間ではγ帯域PLVの減少(p < 0.05)が課題実施後にそれぞれ認められた。確認されたβ、γ帯域の脳活動は、体性感覚関連情報処理に関連することが先行研究により報告されている。よって、本結果は、感覚イメージ課題遂行により体性感覚関連領域の活動が惹起され、20分間の課題継続により体性感覚関連脳領域間での脳機能結合に何らかの影響を与えたものと考察した。本結果は、本研究が目的としていた単回訓練による脳機能結合変化の検出に繋がるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り、研究で使用する課題および解析方法の検討は順調に進んでいる。また1つの課題についてではあるが、単回の訓練による脳機能結合の変化を脳磁計を用いて検出することができ、本研究の目的を一部達成することに繋がった。また、今回用いた課題以外にも、運動感覚の複合感覚となる固有感覚に注目し、新たな課題を作成しつつある。さらに、脳機能結合の解析手法としてグラフ理論を用いた解析手法も新たに実施できるようになった。これにより、全脳でのネットワークを解析することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の予定通り、固有感覚に焦点を当てたイメージ課題を用いて単回の課題による脳機能結合の変化の検出を行う。解析は、関連脳領域間での脳機能結合の検討に加え、グラフ解析を用いた全脳を対象としたネットワーク解析を行い、多面的に脳機能変化の検出を行う。得られた研究成果は、関連する関連雑誌へ投稿していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験機器使用料および研究成果発表に関する旅費等で差額が生じた。しかし、差額は小さなものであり、研究遂行は概ね計画通り順調に進んでいる。次年度は、引き続き、実験実施にかかる使用料、謝金等と成果発表のための論文投稿関連に予算を使用していく。
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