研究課題/領域番号 |
17K01505
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
新小田 幸一 広島大学, 医系科学研究科(保), 名誉教授 (70335644)
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研究分担者 |
高橋 真 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (50435690)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高齢者 / 睡眠 / 運動介入 / 身体機能 / 注意機能 / QOL |
研究実績の概要 |
2019年度は,これまでに得られている地域居住の高齢者に対する朝の運動介入がもたらす効果を一旦まとめ,13th International Society of Physical and Rehabilitation Medicine World Congress にて発表した.この学会では運動介入の主たる効果として,1)主観的眠気は早期に改善する,2)注意機能は早期に向上する,3)QOLは2週目以降に向上する,4)転倒の危険性は4週目に軽減する,さらに新たな知見として,5)動的バランスは静的バランスに遅れて向上する,外乱に対する応答を足圧中心の挙動で観察し,6)初期応答時間が短縮する,7)最大前方移動距離と全動揺距離も短くなることを加えて発表した. これらの効果が得られる理由として,運動介入に用いた運動は極軽負荷の運動であっても,起床後直ちに行うストレッチを中心として,これにわずかながら下肢筋力発揮を促す運動が加わることによって,下肢,特に足関節周囲の機能が向上したことが示唆された.さらに,転倒の危険性が軽減されたことは日中の眠気の改善,QOLの向上と相まって,高齢者の社会的,身体的活動度を一層高めることに繋がることも示唆された.これらことから,起床後直ちに行う極軽負荷運動は,高齢者に朝の起床から夜の就床と睡眠に至るまでの1日の生活にメリハリを与え,望ましい生活習慣をもたらすことが期待された.ただし,今後の研究では,睡眠と動的バランスの関係を詳細に分析することによって,これらを裏付けすることが必要であると思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
補助事業期間の2年目であった2018年の末から,研究代表者に長期にわたる入院・加療を余儀なくされる事態が生じた.さらに退院後も引き続き自宅での加療が必要な状況であっため,実験データの解析および分析に充てる十分な時間を確保できなかった. このため,本年度は補助事業期間の1年間の延長を申請し,承認された.
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今後の研究の推進方策 |
補助事業延長承認後の最終年度である2020年度は,これまで蓄積してきた地域に居住する高齢者のデータをあらためて見直す.具体的には2019年度に十分には行えなかった運動介入と睡眠・動的バランスの関連性の分析に焦点を当てた分析を行う.その分析結果を反映させる形で,有効性を有しながら,起床後直ちに短時間のうちに行える効率的な運動種目を吟味するとともに,これらを整備・再構築して提案する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は,研究代表者に疾患罹患のために長期にわたる加療を余儀なくされる事態が生じ,十分な研究活動をなし得なかった.このため,補助期間延長後の最終年度にあたる2020年度は2019年度の繰越残額を,2019年度になし得なかった学術論文投稿に関わる経費,および運動種目説明パンフレットの印刷のための経費等に充てる予定である.
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