研究課題/領域番号 |
17K01506
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
神津 玲 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (80423622)
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研究分担者 |
花田 匡利 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (00596869)
田中 貴子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (00612409)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 間質性肺疾患 / 高流量酸素投与システム / 運動療法 / 運動耐容能 / 呼吸困難 |
研究実績の概要 |
当該年度は後述の理由から,研究計画を変更し,理学療法を実施している入院中の重症間質性肺疾患患者を対象に,HFNCシステムによる酸素投与下でのベッドサイド低強度運動療法実施の短期効果を日常生活活動(ADL)の到達度と期間から評価した。 当院呼吸器内科に入院治療中で,HFNCシステムによる酸素投与が行われている間質性肺疾患患者を対象に,ベッドサイドで下肢の筋力トレーニング,起立運動,立位での足踏み運動による運動療法プログラムを理学療法士の監視下にて実施,継続した(運動時の酸素飽和度[SpO2]と呼吸困難[修正Borg scale],心拍数をモニタしながら約20分間)。なお,SpO2が85%以下,呼吸困難が5以上,心拍数が120bpm以上を中断の基準とした。評価項目は,ポータブルトイレおよび病棟トイレが使用可能となるまでの期間,退院時ADL状況(Katz Index)を評価し,前年度の同疾患群の状況と比較した。 6例(全例特発性肺線維症)が対象となり,入院理由はすべて急性増悪であった。対象者はベッド上から他動運動を開始し,全身状態の安定が得られ次第,運動療法を導入し,足踏み運動まで順調に進めることができた。4例がSpO2の低下を認めたが,システムの酸素濃度を漸増させることで対処し得た。全例が呼吸困難は5以下でプログラムを実施することができ,ポータブルトイレおよび病棟トイレ使用が可能となるとともに,使用可能となるまでの期間が前年度と比較して短縮する傾向にあった。同様にKatz Indexは平均5点と高く,全例が自宅退院となった。また,運動療法プログラム中の有害事象(著明なSpO2の低下[80%未満],頻脈[150bpm以上]および不整脈,転倒・転落,作動異常などシステム機器関連のトラブル)は皆無であった。 重症間質性肺疾患患者においてHFNCシステム使用下での運動療法は安全に実施でき,ADLの回復および到達に有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究用に購入したHFNC機器(加温加湿器搭載型フロージェネレータ AIRVO2,Fisher & Paykel Healthcare社製)に不具合が生じ(十分なフローが供給されない),機器メーカーの本社(ニュージーランド)での確認作業を行ったこと,あわせて研究協力者が体調不良によって当該年度の研究課題の中断を余儀なくされたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は「HFNCを併用した運動療法の短期および長期効果の検討」を実施するが,前年度の研究結果を活かして,入院中の重症患者に対象を限定し,対照群と比較することで運動療法実施後の短期および長期における効果を評価する。上記に関しては,関連学会と論文で成果報告を行えるように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 論文執筆の校閲費,ならびにデータ解析に要する人件費,消耗備品に予算を使用できていないため。 (使用計画) 上記,論文執筆に着手できるように研究を進めるとともに,計画に従って予算を執行する。
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