研究課題/領域番号 |
17K01508
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
東 登志夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (40244090)
|
研究分担者 |
藤村 誠 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30229041)
松尾 崇史 西九州大学, リハビリテーション学部, 助教 (50757747)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 半側空間無視 / リハビリテーション / 三次元VR |
研究実績の概要 |
半側空間無視(Unilateral spatial neglect; USN)とは要素的な感覚障害や運動障害を持たないにも関わらず,大脳半球病巣の反対側の様々な刺激に対して気付かない病態である.USN の症状は,日常生活の様々な場面に影響を及ぼすため,その評価と治療は脳卒中リハビリテーションにおける重要な課題となっている.現在その効果が期待されているリハビリテーションの介入方法の一つにプリズム順応療法(PA療法)がある.PA療法とは,対象者に視野を偏倚させるプリズム眼鏡を装着した状態で,ターゲットに対する到達運動を繰り返させることでシフトした視覚に到達運動を順応させ,プリズム眼鏡をはずした後にUSN の改善が認められるというものである.しかしながら適切な偏倚角度については十分に検討されていない状況にある.また,ターゲットに対する到達運動の反復は,対象者にとって退屈な単純課題であり,対象者の訓練意欲が持続する様な何らかの工夫が求められている. 本研究では,このPA療法の課題を解決する方法として,三次元VRによるプリズム順応反応システムを開発しその有用性を検討することである.本年度は,試作した三次元VRによるプリズム順応反応システムの最終チェックを行った. 本システムは,三次元VR上に円弧状にターゲットを出現させ,そのターゲットに対してリーチ動作を繰り返す課題を行わせる.その際の視野角度は自由に変更することができ,これによりプリズム順応を起こさせるものとなっている.また,ターゲットへのリーチの誤差(角度)は,毎回計測できる.試作したシステムを用いた計測誤差等の検討を行ったところ,被験者ごとのデータのばらつきが大きいことが判明したため,その不具合を修正するためのプログラム改変を行い,問題点を解決することができた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成30年度はじめに完成した三次元VRによるプリズム順応療法システムの測定誤差が,被験者によってばらつきが大きいことが判明し,急遽,プログラムの改変及び,被験者による誤差を最小にするための練習モードの実装を行った.そのため平成30年度中に臨床現場での試験を開始するまでには至らなかった.また,本研究に関連して開発予定の三次元ARよるUSN評価システムもターゲットの三次元位置の決定に時間を要しており,システムの完成がやや遅延している.
|
今後の研究の推進方策 |
最終調整を行った三次元VRによるプリズム順応療法システムをもとに,臨床研究を担当する研究分担者との間で残りの期間で,本システムの有用性を検討するに十分なデータを収集できる様連携を行う.また,開発が遅れている三次元ARよるUSN評価システムについても,工学部の研究分担者との連携を高め,開発を進める.
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は開発したシステムにいくつかの問題があることが明らかとなったために,プログラムの修正に時間を要し,臨床現場での試験を行うことができなかった.次年度は,前半より,臨床試験にはいることができると予想され,次年度の助成額と合わせ,今年度分の遅れを取り戻すべく研究を推進していく予定である.
|