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2019 年度 実績報告書

変形性膝関節症患者の進行予防に向けた運動協調性改善に関する縦断的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K01510
研究機関大分大学

研究代表者

阿南 雅也  大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (10517080)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード変形性膝関節症 / 協調性 / 外部膝関節内転モーメント / 視覚フィードバック
研究実績の概要

健常若年者においては,身体重心位置をフィードバックさせることにより,圧中心を用いた姿勢制御を行いやすい可能性が示唆されたが,視覚フィードバックを与えても関節運動の協調構造は変化しないことが明らかになった.このため,当初は膝OA患者に対して関節運動の協調構造を高めるフィードバックの縦断的検証を行う予定であったが,高齢者において視覚フィードバックを与えた際の影響を検証し,膝OAの発症の一因を明らかにすることとした.
健常高齢者26人であった.課題動作は利き足を支持脚とした片脚立位動作を採用し,最大30秒間を2回試行した.実験条件は通常条件,鏡によるフィードバック条件,リアルタイムにて身体重心を視覚化させる条件とした.計測には,三次元動作解析装置および床反力計を使用して運動学・運動力学データを取得した.結果より,健常高齢者においては身体重心の視覚フィードバックを与えると,身体重心の安定化に影響を及ぼさない良い変動VUCMと影響を及ぼす悪い変動VORTともに小さくなり,特に股関節と足関節,胸部および頭部のばらつきを小さくしていた.
得られた成果より,健常高齢者は片脚立位保持時に身体重心位置を視覚フィードバックさせることによって,身体重心を安定化させ,関節運動のばらつきを小さくした姿勢制御戦略を行っていることが明らかになった.しかしながら,健常高齢者は,若年者と同様に身体重心位置を視覚フィードバックさせても関節運動の協調構造を高めることはできなかった.また,これまでの成果より軽度膝OA患者の片脚立位保持では,下肢のばらつきを少なくした姿勢制御戦略となっていた.以上のことから,軽度膝OA患者に対して身体重心をフィードバックさせることによる姿勢制御戦略は,関節運動の協調構造を高めることはできず,逆に膝OAを進行させる一因となる可能性が示唆された.

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (12件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 変形性膝関節症患者の異常歩行の分析結果に基づく理学療法プログラム立案2019

    • 著者名/発表者名
      谷本研二,徳田一貫,阿南雅也
    • 雑誌名

      理学療法

      巻: 36 ページ: 779-788

  • [学会発表] 骨盤回旋角度に着目した介入により歩行時の腰部痛が軽減した一症例2020

    • 著者名/発表者名
      日元世菜,安藤将孝,阿南雅也,渡邊亜紀
    • 学会等名
      第22回大分県理学療法士学会
  • [学会発表] 単純X線から求めた大腿骨頸部の主圧縮骨梁の配向角度計測の信頼性2020

    • 著者名/発表者名
      井原拓哉,羽田清貴,阿南雅也,高橋真,川嶌眞之
    • 学会等名
      第22回大分県理学療法士学会
  • [学会発表] 身体重心位置の視覚フィードバックは関節運動の協調構造を変化させるか2019

    • 著者名/発表者名
      阿南雅也,徳田一貫,井原拓哉,羽田清貴
    • 学会等名
      第24回日本基礎理学療法学会学術大会
  • [学会発表] 変形性膝関節症におけるメカニカルストレスと関節運動の協調性との関係2019

    • 著者名/発表者名
      阿南雅也
    • 学会等名
      専門理学療法士(基礎)必須発表会
  • [学会発表] 変形性膝関節症における姿勢制御能力とメカニカルストレスとの関係2019

    • 著者名/発表者名
      阿南雅也,徳田一貫,井原拓哉,羽田清貴
    • 学会等名
      第46回日本臨床バイオメカニクス学会
  • [学会発表] 変形性股関節症患者の歩行時痛と時間幅を持った運動学的変数との関連性の検討2019

    • 著者名/発表者名
      井原拓哉,辛嶋良介,阿南雅也,高橋真,川嶌眞之
    • 学会等名
      九州理学療法士学術大会2019
  • [学会発表] 大腿四頭筋および膝蓋骨切除患者の歩行特性2019

    • 著者名/発表者名
      髙橋兼人,阿南雅也,坪内優太,田仲和宏,岩崎達也,池田真一,片岡晶志,津村弘
    • 学会等名
      第7回日本運動器理学療法学会学術大会
  • [学会発表] 変形性股関節症患者の立脚期の股関節角度に対する全身の協調性~1症例に関する検討~2019

    • 著者名/発表者名
      井原拓哉,羽田清貴,辛嶋良介,阿南雅也,高橋真,川嶌眞之
    • 学会等名
      第7回日本運動器理学療法学会学術大会
  • [学会発表] 脳卒中後片麻痺患者の矢状面における遊脚期の麻痺側下肢の協調性2019

    • 著者名/発表者名
      狩生直哉,戸髙良祐,内田智也,阿南雅也
    • 学会等名
      第17回日本神経理学療法学会学術大会
  • [学会発表] 脳卒中後片麻痺患者における歩行速度の増大が体幹対称性に及ぼす影響-Lissajous Indexを使用した検討-2019

    • 著者名/発表者名
      戸髙良祐,狩生直哉,内田智也,阿南雅也
    • 学会等名
      第17回日本神経理学療法学会学術大会
  • [学会発表] 悪性軟部腫瘍に伴う大腿四頭筋および膝蓋骨切除例における歩行解析2019

    • 著者名/発表者名
      田仲和宏,阿南雅也,坪内優太,高橋謙人,池田真一,岩﨑達也,片岡晶志,津村弘
    • 学会等名
      第46回日本リハビリテーション医学会九州地方会
  • [学会発表] 悪性腫瘍に伴う大腿神経合併切除例における歩行解析2019

    • 著者名/発表者名
      田仲和宏,阿南雅也,坪内優太,池田真一,岩﨑達也,片岡晶志,津村弘
    • 学会等名
      第56回日本リハビリテーション医学会学術集会
  • [図書] Crosslink理学療法学テキスト 運動療法学2020

    • 著者名/発表者名
      阿南雅也・他
    • 総ページ数
      494(216-224)
    • 出版者
      メジカルビュー社
    • ISBN
      9784758320054
  • [図書] 理学療法アクティブ・ラーニング・テキスト 骨関節障害理学療法学2020

    • 著者名/発表者名
      阿南雅也・他
    • 総ページ数
      389(107-129)
    • 出版者
      文光堂
    • ISBN
      9784830645785
  • [図書] Guide to Evidence - 理学療法エビデンス大事典 現場で使える実践ガイド2019

    • 著者名/発表者名
      阿南雅也・他
    • 総ページ数
      473(88-118)
    • 出版者
      西村書店
    • ISBN
      9784890134960

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公開日: 2021-01-27  

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