健常高齢者は片脚立位保持時に身体重心位置を視覚フィードバックさせることによって,身体重心を安定化させ,関節運動のばらつきを小さくした姿勢制御戦略を行えることが明らかになった.しかしながら,健常高齢者は,若年者と同様に身体重心位置を視覚フィードバックさせても関節運動の協調構造を高めることはできなかった.また,軽度膝OA患者の片脚立位保持では,下肢のばらつきを少なくした姿勢制御戦略となっていた.このことから,軽度膝OA患者に対して身体重心をフィードバックさせることによる姿勢制御戦略は,関節運動の協調構造を高めることはできず,逆に膝OAを進行させる一因となる可能性が示唆された.
|