研究課題/領域番号 |
17K01512
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
木山 良二 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (60315413)
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研究分担者 |
川田 将之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30783477)
米 和徳 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40182844)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ウェアラブルセンサ / バイオフィードバック / 歩行 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
ウェアラブルセンサーを用いた歩行トレーニングシステムの開発を目的に以下の検討を行った。一つは、歩行中の関節運動を適切にフィードバックするための基礎情報として、健常高齢者の歩行中の体幹、下肢の加速度、角速度、角度の情報を蓄積した。もう一つは、健常若年者を対象に、ウェアラブルセンサーからの情報をもとにしたバイオフィードバックが歩行を変容させられるか検討した。 今回得られた高齢者の歩行中の体幹の傾斜角度は、先行研究と類似した結果であり、ウェアラブルセンサーによる測定の妥当性が示された。下肢の傾斜角度については先行研究がないため比較できないが、信頼区間が小さく、歩行の異常を検出可能と考えられた。 バイオフィードバックによる歩容の変化に関しては、体幹の矢状面、前額面における動揺、股関節伸展角度を音刺激によってフィードバックし、歩容の変化を検討した。その結果、今回のシステムにより、設定どおりに歩容を変化させることが可能であることが示された。なお、当初は振動刺激でフィードバックを行う予定だったが、対象と考えられる脳卒中片麻痺患者では感覚障害を呈すること、パーキンソン病を対象とした先行研究では、振動刺激よりも音刺激の方が好まれると報告されており、音刺激によるフィードバックに変更した。 一方、今回のフィードバック下における歩行では、設定以上の角度変化が生じた例がみられた。今回は、閾値を超えた際にのみフィードバックを与えたためと考えられる。また、ウェアラブルセンサー1個を用いた測定では、反張膝を検出することは困難であった。今後、傾斜角度が適切な範囲である際にフィードバックするように変更して、歩容の変化を検討する予定である。また、利用するウェアラブルセンサーを増やし、反張膝を検出できるように修正する予定である。健常高齢者のデータについては、第60回日本老年医学会学術集会にて報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、健常者若年を対象に片麻痺や変形性膝関節症で一般的に観察される異常歩行を模擬させ、歩行異常を検出するために適切なウェラブルセンサーの貼付位置を明らかにする予定であった。概ね予想通りの結果が得られ、ウェアラブルセンサーで歩行異常を検出することが可能であった。しかし、脳卒中片麻痺患者でよく観察される反張膝などの一部の異常歩行では、ウェアラブルセンサー1個では検出が困難であることが分かった。また、研究実績の概要でも述べた通り、フィードバックの与え方についても改善が必要であるため、再度検討する必要がある。 また、計画当初は予定していなかったが、基礎情報として健常高齢者のデータが必要と考え、データの蓄積を行った。これらのため、研究計画に若干の遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の検討をもとに、歩行異常の検出方法ならびに、適切なフィードバックが可能となるようにシステムの修正を行う。その後に、健常若年者を対象にフィードバックによる歩容変化の検討、健常高齢者及び疾患を有する対象者のデータの蓄積を進める。 健常若年者で十分な結果が得られ次第、症例を対象とした研究を実施する予定である。 また、基礎情報として収集した、変形性膝関節の術前後における体幹動揺の変化を論文として投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文校閲の費用を計上していたが、論文作成が遅れたため執行できなかった。今年度初旬で執行予定である。
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