研究課題/領域番号 |
17K01513
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 雄一 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00570136)
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研究分担者 |
佐々木 祐典 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20538136) [辞退]
本望 修 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90285007)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / 骨髄間葉系幹細胞 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
脳梗塞に対する新しい治療法として、骨髄間葉系幹細胞(MSC)の経静脈的移植が注目されている。MSCによる治療効果のメカニズムとして、1サイトカインによる神経栄養作用、2血液脳関門機能の修復、3血管新生、4脱髄軸索の再有髄化、5神経再生による脳の可塑性の調節などが多段階・協奏的に作用することが判明しており、MSC投与を受けた脳梗塞患者の神経症状の回復も、ほぼこれと平行して進むことが明らかになってきた。 我々は、脳梗塞モデルに対するMSC移植にリハビリを併用し、運動機能などの回復を観察した結果、リハビリやMSC移植単独群よりも、併用群の方がさらに高い運動機能の回復を得られることを報告した。MSCは、1)梗塞巣周囲に集積し、2)脳梗塞体積を減少させ、3)脳梗塞周辺領域のシナプス新生を誘導し、4)脳梁萎縮を抑制、するが、リハビリを併用すると、脳の可塑性のさらなる亢進を誘導することが可能となり、より高い治療効果が得られることを明らかにした。これらの良好な成果から、MSC治療が実用化された暁には、リハビリは益々重要な役割を担うと考えられる。本研究は、リハビリとMSC移植の併用で得られる治療効果の分子メカニズムを詳細に比較解析し、治療効果判定のバイオマーカーと、新しいリハビリ方法を確立することを目的としている。特に、MRIのDiffusion Tensor Imagingなどの最新の画像解析法、MSCの投与によって変動する遺伝子の発現や、神経栄養因子などを有効なバイオマーカーの候補と考え、脳の可塑性のパターンの変化に注目して、神経回路の再構築、シナプス新生などの観点から解析を進めている。現在までに、本研究費によって、実験的脳梗塞に対する治療効果の行動学的解析、MRI解析、神経トレーサーを用いた神経解剖学的解析などを行っている。以上のように、補助金は補助条件に従って、有効に使用されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、本研究費によって、実験的脳梗塞に対するリハビリテーションと骨髄間葉系幹細胞移植併用による治療効果を行動学的(運動機能・学習記憶能力など)、画像診断学的、神経解剖学的、免疫組織学的の解析を推進している。ラット中大脳動脈永久閉塞(MCAO)モデルは、Intraluminal thread methodを用いて作製し、リハビリと骨髄間葉系幹細胞移植の効果を明らかにするために4つの実験群を設定した。(Group 1;コントロール群:Group 2: リハビリテーション群:Group 3:細胞移植群:Group 4:コンビネーション群)。細胞移植を行う群では、脳梗塞発症後急性期に骨髄間葉系幹細胞を経静脈的に移植している。リハビリテーション(運動負荷)は脳梗塞発症後1日後よりトレッドミル走行を行っている。運動機能評価は、limb placement test(LPT)、トレッドミル負荷試験で行い、ラットの運動能力の回復過程を評価する。6種類のテストから構成されるLPTでは損傷半球の対側四肢の機能レベルを計測し、トレッドミル負荷試験ではラットの最大走行速度を測定している。記憶・学習能力評価は、Morris水迷路試験で行い、目標到達までのトレーシング、時間を計測して、ラットの記憶・学習能力の回復過程を評価している。
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今後の研究の推進方策 |
実験的脳梗塞に対するリハビリとMSC移植の併用で得られる治療効果の分子メカニズムを詳細に比較解析するために、行動学的(運動機能・学習記憶能力など)解析、MRI解析、神経解剖学的解析、免疫組織学的解析を継続する予定である。特に、ラット中大脳動脈永久閉塞(MCAO)モデルは、Intraluminal thread methodを用いて作製し、リハビリとMSC移植の併用で得られる治療効果のメカニズムを明らかにするために上記の4実験群を設定し、実験動物数を増やし、行動学的(運動機能・学習記憶能力など)解析、MRI解析、神経解剖学的解析、免疫組織学的解析によって詳細に検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 計画的に研究を進めたが、該当年度の研究費使用において軽微な残額が発生した。 (使用計画) 残りの研究計画に従い、物品購入等に充填する予定である。
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