研究課題/領域番号 |
17K01514
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
仙石 泰仁 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10248669)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 眼球-頭部協調運動 / 発達障害 / 作業療法 |
研究実績の概要 |
視覚と伴に協調的に働く頭部運動が視覚情報を安定的に収集する上で重要であるが、現状では姿勢変換が含まれない課題や、動作工程が少ない課題が分析対象となっており、日常生活動作のように姿勢変換を伴う課題や、いくつかの動作が組み合わされた課題については研究が行われていない。我々もこれまで静的な課題である机上課題で研究を進めてきたが、これに加えて日常生活動作の中でも動作の相を区切ることが容易で、また姿勢変換を伴う課題として立位から便座への移乗動作、そして複数の動作が組み合わされた課題として食事動作を用いて、それぞれの動作課題中の眼球・頭部協調運動の特徴を発達障がいを抱える成人2名を対象として研究を行った。研究には課題遂行中の眼電位と頭部角加速度をJINS MEME(JINS社製 JINS MEME ES-R)を用いて測定した。また、ヘッドカメラ(Panasonic製 HX-A1H)で被験者側から見た映像を撮影し、デジタルビデオカメラ(SONY製 HDR-CX485) で課題遂行中の動作全体の様子を記録した。ヘッドカメラおよびデジタルビデオカメラで記録した映像から、動作分析を行い課題動作に含まれる動作単位を分析した。結果では食事動作はではすべての工程で頭部の動きが先行し、眼球運動はその補完的な活動が認められた。また、その傾向は正中線交差を行う右上から左上の皿に移る動作で顕著であった。移乗動作は大きな頭部運動が必要となる動作であるが、視覚が先行し頭部運動は抑制的な動きに留まっていた。この結果は健常成人を対象とした分析とは大きく異なっており、この違いが動作の不安定さや姿勢保持の困難さの一要因である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症のため研究協力者の募集が停止しており、データ収集が遅れている。また、動的中課題を行う際にこれまで用いていたJINS MEME ES_Rではノイズの混入が大きく、分析可能なデータ収集が限られてしまうことが明らかとなった。今後は現有の視線追従を行う機器(アイカメラ)と頭部に加速度センサーを設置する新たな実験設定を試行していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
健常者の眼球・頭部協調運動の測定を継続し行い、健常成人の動作種毎のパターンを更に明確化するとともに、2020年度に実施できなかった発達障がい者のデータ収集も行い障害特性との関連について分析を進める。一方、粗大運動課題に関しては眼球・頭部協調運動の測定として現在で用いているJINS MEME ES_Rでは眼電位の測定結果が不安定なため、アイカメラによる測定も同時に行い、視線停留と動作種との関連についても分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症のため予定していたデータ収集ができなかったため、データ収集に必要な機器を購入保留としていた。今年度は頭部加速度測定に関する新たなシステム構築を図るため加速度センサーなどの購入を予定している。
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