研究課題/領域番号 |
17K01515
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
根木 亨 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (60457728)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 正弦波状負荷運動 / 高強度間欠的運動 / 定常負荷運動 / 血圧 |
研究実績の概要 |
高強度インターバルトレーニング(HIT)は,定常負荷運動(ET)と同様の骨格筋適応を引き起こし,かつETよりも短時間でその効果を引き起こすことができ,効率的であるともいえる.しかしHITは運動期と休止期の負荷の変動が急であり、心疾患患者においては左心機能にかかる負荷が大きいと考えられる.一方HITと同様に,運動中に負荷を変化させる運動形式に正弦波状負荷運動がある.この正弦波状負荷運動は負荷の増減が緩徐であるため、HITより安全性を確保しつつ、定常負荷より効率的な運動が行えるのではないかと考えられる.今年度は,総運動量を等しくした,周期が異なる2種類のサイン負荷運動と定常負荷運動を比較し,サイン負荷の周期による血圧変化の振幅の違い,そしてサイン負荷と定常負荷間での安静時からの血圧上昇の違いを明らかにすることとした.
対象は健康な若年男性7名とした.運動は全3試行とし,周期6分のサイン負荷(Slow sine,以下SS),周期1分のサイン負荷(Fast sine,以下FS),定常負荷(Continuous,以下CON)の運動を12分間行い,指尖血圧で安静時,および運動時の収縮期血圧(Systolic blood pressure,以下SBP)を計測した.運動後半においてSBPの安静時から各周期の最大値との差をΔSBPmax,平均との差をΔSBPaveとし3試行間で比較した.
運動後半のΔSBPmaxはCONと比較し,SSでは有意に高値を示したが,FSとCONには有意差を認めなかった.また,SBPの振幅はSSと比較し,FSで有意に低値であった.3試行間でΔSBPave,は有意差を認めなかった.結論:FSでは一時的な高負荷にもかかわらず,血圧がCONと同様の変化であった.FSは血圧上昇を抑えながら,一時的な高強度運動を実施できる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では正弦波状負荷運動と高強度インターバル負荷運動および定常負荷運動における呼吸循環動態の変化を明らかにすることとしているが,酸素摂取量の動態についてみると,正弦波状負荷運動の周期が短くなるに従って、定常負荷運動時の酸素摂取量の動態に近づくことが報告されている.正弦波状負荷運動により一時的な高強度運動を行っても,定常負荷運動に近似した循環応答を示すならば,循環諸量の変化を抑えた高強度運動が可能ではないかと考えた.そのため,まず高強度インターバル負荷運動との比較を行う前に,定常負荷運動との比較を先行して実施した.研究実施自体は概ね進めることが出来ており、以後のインターバル負荷運動との比較実験の実施も問題ないと考える.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の予備実験において,定常負荷運動との比較で循環諸量の変化を抑えながら高強度運動を実施できる可能性が示唆された.この結果をもとに,高強度インターバル運動との比較実験を進め,正弦波状負荷運度における循環諸量の変化について明かにする.また,高強度インターバル運動における酸化ストレスの変化が着目されつつあるため,負荷前後における活動筋に対する刺激量および酸化ストレスに与える影響についても,研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 本年度は,予備実験として既存の実験機材にて研究実施が可能であったため,当該年度にて使用予定であった研究費の一部については,次年度使用額として繰り越す運びとなった. (使用計画) 次年度においては,当該年度にて使用予定の機材および研究計画にて示す酸化ストレスの測定費用等に使用予定である.また,本研究課題に関する研究打ち合わせや研究成果の発表に伴い,印刷費,英文校正費用,投稿料などが必要となる.そのため,上記に挙げたこれらの項目に研究費を充当する予定である.
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