これまでに健常若年成人と高齢者を対象にして身体運動と呼吸負荷を組み合わせて行う運動時呼吸負荷トレーニングが呼吸負荷なしの同強度のトレーニングと比較して心肺持久力と呼吸機能の一部を向上させることが報告されている。 本研究目的は運動時呼吸負荷トレーニングの安全性と効果を高めるための介入方法の改善、介入量と介入期間の最適化、適応対象者の確定を検討するための基盤となる生体応答メカニズムの解明である。 当該年度は、前年度に引き続きCOVID-19感染拡大の影響を受けて、生体応答(呼吸動態)メカニズム解明に用いる解析の基盤として用いる3D呼吸器構造モデルを構築することに注力した。 胸腹部断層画像取得に関しては、前年度に見いだされた課題を元に、誤差の少ない最大吸気・最大呼気位におけるデータ取得を目指した。そのため、CT撮影とスパイロメトリーの同時計測方法を構築し、若年成人男性のDICOMデータを取得した。このことにより、撮影した最大吸気と最大呼気の撮影時の肺活量を明らかにすることができた。加えてこの肺活量とDICOMより抽出した気道および肺領域と、同時計測した肺活量との関係性を明らかにしたところ、3D構築によるボリューム評価の妥当性も明らかにすることができた。さらにこれらのDICOMデータを対象に胸郭抽出を行うことができた。抽出したモデルは呼吸動態解析の基盤としての胸郭3Dモデルとして使用できる。
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