研究分担者 |
伊藤 文人 北海道大学, 保健科学研究院, 客員研究員 (00722307)
小島 翔 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (10780330)
藤井 俊勝 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (70271913)
大西 秀明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90339953)
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研究実績の概要 |
慢性痛有訴者に対する疼痛マネジメントの一つとして,随意運動が疼痛改善効果を有するとのエビデンスが示されており,各国のガイドラインにおいて推奨されている(Balague, 2012;Koes 2010; Hayden, 2005).リハビリテーション領域においては疼痛に対しての治療法として運動療法が実施されるが,その運動療法の科学的根拠が不十分であるのが現状である.四肢の末梢刺激時に随意運動を行うことで一次体性感覚野の活動が小さくなるだけでなく,主観的な痛みの感受性も低下することが報告されている.この疼痛抑制には前頭前野や前帯状回といった脳領域の関与が報告されているが(Nakata, 2009),運動関連領野の活動と疼痛抑制に関与する領域の経時的変化やそれぞれの領域間の関連性や連結については十分に解明されていない.疼痛を感知した際には一次体性感覚野,二次体性感覚野のみならず,大脳辺縁系や島といった脳領域が関与しており,また認知を含む高次の脳機能が関連することも報告されている.しかし,これまでの痛みについての研究報告では脳計測機器の限界や計測環境の制限により,運動による疼痛抑制の脳活動とそのメカニズムの全容については推測の域を脱していない. 我々はこれまで脳磁場計測装置を用いて,末梢神経である正中神経を刺激時に随意運動強度の増加に伴い,体性感覚誘発磁場が減弱することを報告した(Sugawara K, et al. Exp Brain Res, 2016).2017,2018年度では本研究では以上の研究を発展させ,随意運動時における末梢感覚入力量変化に着目し,MEGを用いて皮膚への疼痛刺激前後の運動関連脳磁場および体性感覚誘発磁場を計測することとした.2019年度では冷却刺激による疼痛誘発時に筋出力を変化させた随意運動を実施し,主観的疼痛感覚を評価した.
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