研究課題/領域番号 |
17K01529
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
富永 孝紀 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (40788907)
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研究分担者 |
小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207)
美馬 達哉 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (20324618)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳血管障害 / リハビリテーション / Virtual reality |
研究実績の概要 |
本研究では、一側の大脳半球に損傷を呈した脳卒中患者を対象にVirtual reality (VR)技術を用いた歩行訓練が下肢機能回復と動作能力への影響を分析し、効果的かつ効率的な歩行に対するリハビリテーションの確立を目的としている。平成29年度では、1)VR画像の作成、2)脳卒中患者への予備計測、3)本研究に使用するVR画像の決定について取り組んだ。予備計測として、VR空間上に両側に壁を作成し壁幅の異なる歩行路を作成した。この映像を用いて、健常者を対象にVR映像と同様に実際の歩行路を作成し、壁幅の違いによる所要時間、歩数、歩行軌跡の変化を歩行テスト(Timed Up and Go;TUG)を用いて比較検討した。その結果、歩行軌跡の幅は現実空間・VR空間の両方で壁幅の減少とともに小さくなる傾向が得られ、VR空間による壁幅の視覚的、心理的影響を考慮した歩行訓練の実現可能性が示された。次に脳卒中患者20名を対象に、現実空間でのTUGとVR空間上で壁幅の異なるTUGを実施した。その結果、身体機能及び歩行機能が低下している症例はVR空間上での壁幅の違いによって歩行速度が低下する傾向があり、通常のリハビリテーションに加えてVR空間を用いた歩行訓練が歩行能力の向上につながる可能性が示唆された。これらの予備実験から、実験に用いるVR映像の決定と歩行や歩行に関連した評価方法を決定していく。 VR映像を用いたトレッドミル歩行については、映像による酔いを認めた。そのため、手振れ等の補正を考慮し、再度映像を作成し予備実験をすすめていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VR映像を用いた歩行訓練については、予備実験を実施しており検証を重ねて介入へと進めていく。 VR映像を用いたトレッドミル歩行訓練の効果の検証については、映像酔いを考慮する必要性やトレッドミル歩行機器との接続において技術的に考慮する必要性があり、今後も検証を重ねていき課題の解決を図っていく。
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今後の研究の推進方策 |
VR映像を用いた歩行訓練の効果については、いくつかの歩行路を作成し具体的な介入へとすすめていく。 VR映像を用いたトレッドミル歩行訓練の効果の検証については、特に映像酔いを考慮する必要性があり、映像の質(手振れ補正や画質等)を向上させて再度検証をすすめていく。また、VR介入の困難な患者に対して没入型のスクリーンの介入やCGを使用した映像、簡略的な歩行路の実映像を作成するとともに予備実験を進めていく。
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