研究課題/領域番号 |
17K01532
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研究機関 | 東京医療学院大学 |
研究代表者 |
内田 学 東京医療学院大学, 保健医療学部, 准教授 (80531475)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 舌骨下筋 / 温熱療法 / 誤嚥 / 嚥下クリアランス |
研究実績の概要 |
MSAに発生する嚥下障害に対する超音波(温熱療法)の効果検証を実施した。本年度は、対象者の選定作業を中心に実施している。疾患特異性としてOn-Off現象やwearing offなど薬剤抵抗性に関する影響について条件統制する必要があるため、慎重に実施している。一般的にgradingに使用されるH-Y stageを使用し自己摂取が可能な患者を選定しstageⅢレベルまでの患者を対象とし、なおかつ自律神経障害、二次的な合併症などが存在しない患者を12名選定した。この者に対して、従来より実施されている舌骨上筋に対する筋力増強練習や電気刺激療法などの介入ではなく、舌骨下筋の固縮に対する介入を実施し、嚥下クリアランスに対する改善の程度を検証した。方法は、対象に対する超音波療法を2週間実施する事とした。温熱療法としては、3MHzの出力で10分間照することとし、頻度は3/週、照射時間は昼食前の時間に実施する統制条件とした。測定項目としては、射改訂水飲みテスト、また飲水時に発生する筋電図学的解析、相対的喉頭位置、食事時に発生する顕性誤嚥の回数を測定した。表面筋電図学的解析としては、咬筋、顎二腹筋、甲状舌骨筋を被検筋とし、それぞれの筋活動に発生する神振幅を測定した。統計学的解析としては、超音波介入前(介入前群)と超音波介入後(介入後群)の2群に分類し、温熱療法が嚥下クリアランスに与える効果について比較検討を実施した。結果としては、介入後群にMWST、相対的喉頭位置、顕性誤嚥の頻度、顎二腹筋の振幅に有意な改善を認めた。 現在は、ここまでの進捗状況でありN数が少ない状況ではあるが、超音波介入の効果がMSAに対しては有益である印象を持っている。嚥下クリアランスとしても正常に近い数値まで一時的ではあるが変容を示していることから、今後も研究継続の必要性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況としては順調に進行している。対象者の選定に時間がかかってしまったものの、おおよその研究計画に沿った形で進行ができている。
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今後の研究の推進方策 |
11今後は、同一の患者に対して検討を実施するためにwash outの期間を2か月開け、研究2に移行する。今年度、じっししている温熱刺激は超音波を使用している。超音波の出力に際しては専用のプローブを使用し皮膚表面を回転させる手法がなされている。結果として得られていた嚥下クリアランスが温熱刺激による改善であるのか、皮膚と軟部組織に対するマッサージ効果によるものなのか不明瞭である。 今後は、同一対象者に対して同様の超音波機器を使用したプラセボ介入を実施する必要がある。出力照射を0MHzに設定し、専用プローブを回転させるだけの効果として超音波介入時の嚥下クリアランスと比較検討する予定である。 測定方法などは、研究1と同様とし、介入頻度、介入時間なども研究1に準じて実施する事とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
筋電図学的解析を実施するうえで購入する予定にしていたノラクソンが、大学に資材管理にある機材を使用することで汎用性が向上する事が判明した。インターフェイスを購入することで本体にかかる費用が抑制され、解析ソフトの購入のみで実験解析が可能となった。これにより購入台数を増やすことが可能となり、解析場所を複数にした状態でも実施が可能となった。 次年度に向けて、同様のスペックで3台の購入が可能となる。これで解析を飛躍的に進めることが可能となったことから、予算として次年度に執行していく予定である。
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