経頭蓋交流刺激(tACS)がエピソード記憶に影響を与えるかどうかは不明であり,左前頭前野(PFC)上に対するガンマ振動が長期記憶保持に影響するかは十分に調査されていないのが現状である. 本研究では,左PFC上のtACSがエピソード記憶の認識を高めるかどうかについて検討することを目的とした.健常若年成人36名を対象とし,tACS群(18名,女性14名,平均年齢21.2±0.4歳)および疑似刺激群(18名,女性14名,平均年齢21.2±0.4歳)に無作為に割り当てた. 対象者は,1日目の学習課題中ならびに2日目の認識課題中において,tACSまたは疑似刺激のいずれかを受けた.認識課題は1日目および7日目に行われ,反応精度は1日目,2日目,7日目のすべての時点において測定された. 結果,tACS群の対象者は,疑似刺激対照群の対象者よりも長期記憶をよりよく保持することができた.これらの知見は,左PFCに対するtACSが健康若年成人におけるエピソード記憶の認識を高めることを示唆している.
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