研究課題/領域番号 |
17K01537
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研究機関 | 名古屋学院大学 |
研究代表者 |
肥田 朋子 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 教授 (20223050)
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研究分担者 |
水村 和枝 中部大学, 生命健康科学部, 客員教授 (00109349) [辞退]
片野坂 公明 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (50335006)
縣 信秀 常葉大学, 保健医療学部, 講師 (00549313)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 不活動 / 筋性疼痛 / 神経成長因子(NGF) / 温熱療法 / 後根神経節 |
研究実績の概要 |
不活動によって生じる痛みは、目立った損傷がなくても生じ、その後の活動性や生活の質においても弊害となるため、この疼痛発生の原因を追究し、疼痛発生を抑制することは重要である。これまでの研究からギプス固定を用いた不活動モデル動物は、不活動2週後には皮膚および筋における痛覚過敏状態を引き起こし、この疼痛発生の原因物質は神経成長因子(Nerve growth factor, NGF)であることが明らかになっているが、NGFを産生する物質に関しては種々議論されており、解析を進めているところである。昨年度からの研究で、この標的細胞としてマクロファージの可能性を示し、成果として国際学会にて発表した。 今年度は、不活動初期による筋性疼痛に対する理学療法効果の解析を目的として、不活動4週間で検討し効果の期待できた温熱療法の影響について検討することとし、2週間の不活動状態に対する温熱療法の効果を腓腹筋および脊髄後根神経節(Dorsal root ganglion, DRG)におけるNGFの発現状況ならびに腓腹筋におけるマクロファージの発現状況、さらに熱ショックタンパク(Heat shock protein, HSP)の影響から検討した。 その結果、温熱療法を施した不活動群では、温熱を施さない不活動群に比べ皮膚ならびに筋での疼痛発生が抑制された。またDRGにおけるNGF陽性細胞の割合も有意に減少した。腓腹筋におけるNGF発現は抑制傾向であったが有意差は認めなかった。これは腓腹筋ないし周辺で産生されたNGFが速やかに感覚神経に取り込まれたためと考えられた。一方、マクロファージの関与に関してははっきりせず、NGF産生細胞の標的となりうるかどうかに関して改めて調べていく必要性が生じた。さらにHSPに温熱療法の影響は認められず、酸化ストレスの影響についても引き続き検討を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.施設移転に伴い、十分な実験期間が確保できなかったため 2.昨年度順調に推移したと思われたNGFの発生標的細胞であるマクロファージの関与に疑問点が生じ、改めてマクロファージの関与について、詳細な検討が必要となったため
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き不活動モデル動物を作製し、検討事項として挙がったマクロファージの関与に関して、より詳細な検討を進める。一つにはマクロファージのサブタイプの分析である。今まではマクロファージを一つの物質として検討してきていたが、M1マクロファージとM2 マクロファージを区別して検討を進める。もう一つはマクロファージの枯渇によってNGFが産生されるかどうか、筋性疼痛が生じるかどうかを検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
施設移転に伴う実験停止期間により、実験が遂行できない状況が生じたため。これらの費用は次年度の実験遂行の中で消耗品費に充てる予定である。
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