研究課題
・前庭リハビリテーションによく用いられるGaze stabilization exercise (GSE)によって頭部運動中の文字認識能力が向上するが、これが頭部運動と眼球運動の協調性向上によるものかは明らかではなかった。我々は、GSE中の眼球運動と頭部回旋運動の同時計測を行い、試行回数増大に伴い眼球運動と頭部運動の協調性が変化することを明らかにした。さらに、GSE前に小脳に低頻度反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation: rTMS)を負荷することでGSE単独で得られる効果が観察されなくなることを明らかにした。このことは眼球運動を改善するための前庭リハビリテーションの効果に小脳が関与している可能性を示唆する。・直流Galvanic vestibular stimulatin(GVS)に対する脊髄運動ニューロンプール興奮性の変調量、つまり前庭脊髄反応興奮性は、GSEの前後で変化し、直立姿勢安定性を向上させること、姿勢制御における前庭覚貢献度を向上させる可能性があることが示された。・姿勢制御をしない腹臥位で微弱な前庭電気刺激を付加するだけでは姿勢制御に寄与する前庭脊髄反射は変化しないが、その前に小脳にrTMSを付加すると前庭脊髄反射を変調させることを明らかにした。このことは、リハビリテーションで用いられる前庭電気刺激の効果に小脳が関与している可能性を示唆する。・今回の一連の研究により、前庭リハで用いられるGSEやGVSは前庭反射を調整し効果を得ている可能性、さらにその効果に小脳が関与している可能性、さらに小脳への非侵襲的脳刺激がその効果を修飾する可能性があることが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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