研究課題/領域番号 |
17K01543
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
西上 智彦 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 准教授 (60515691)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 理学療法 / 疼痛 / 中枢性感作 |
研究実績の概要 |
本年度は初期評価時の中枢性感作が理学療法の治療効果を予測できるかの検討を行った。 外来受診患者を対象に介入前にCSI,Euro QOL 5 Dimension (EQ5D),Brief Pain Inventory (BPI)を評価した.その後,3ヶ月理学療法を継続した115名 (男性39名,女性76名,平均年齢56.7±14.9歳)を対象に,BPIを再評価した.介入は関節可動域練習,筋力増強運動,動作指導といった標準的な理学療法を行った.従属変数を3ヶ月後の能力障害(Pain intereference)とし,独立変数を初期評価時の年齢、性別,身長,体重,罹患期間,QOL,疼痛強度,網力障害及びCSI scoreとした重回帰分析を行った.統計学的有意水準は5%とした. 結果,能力障害に関わる因子として,初期評価時の能力障害(p = 0.006)及びCSI scor(p = 0.003)が抽出された. これらの結果は,仮説どおり,初期評価時に中枢性感作が高い症例では3ヶ月後の能力障害が高いことを明らかにし,CSIは理学療法の治療効果を予測するスクリーニングツールとして有用な可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当年度の目標であった初期評価時の中枢性感作が理学療法の治療効果を予測できることを明らかにし、30年度以降の介入研究への足がかりとして妥当な結果であったため。
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今後の研究の推進方策 |
外来受診患者を対象に,患者教育・有酸素運動群と標準理学療法群にランダムに割当て,3ヶ月間それぞれ実施し,3ヶ月後,6ヶ月後の効果を検証する.標準的理学療法群では関節可動域練習,筋力増強運動,動作指導を実施する.患者教育・有酸素運動群では下記で示す患者教育と有酸素運動はエルゴメーターを用いて10分から漸増的に増加し,最終的には20分間実施する.各群とも週1回3ヶ月間実施する.主解析として、CSIの総得点が40点以上か以下かに群分けし,その2群の効果の違いを明らかにする.CSIが高い者には患者教育・有酸素運動の介入がより有効であるかを検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
教育資料の作成に関する金額を次年度に持ち越して,さらなる増刷を行うため.
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