研究実績の概要 |
慢性期だけでなく,急性期においても中枢性感作(CS)関連症状が認められることや,CSは広範囲疼痛に関連することが報告されている。今回,CS関連症状を呈する筋骨格系疼痛患者の特徴(罹患期間と疼痛範囲)を検討した。筋骨格系疼痛患者637名を対象に,中枢性感作症候群 (CSI), 疼痛 (BPI: Pain intensity, Pain interference), 健康関連QOL (EQ5D)を評価した。統計学的解析は,疼痛範囲(体幹,四肢,体幹+四肢)と罹患期間 (3ヶ月未満,3ヶ月以上)を要因,CSIを従属変数とした二元配置分散分析を行なった。また,疼痛部位及び罹患期間でCSIが40点以上となるオッズ比を算出した。さらに,EQ5D,BPIについて疼痛部位,罹患期間をそれぞれ要因とした一元配置分散分析を行なった。有意水準は5%とした。CSIは,各要因で有意な主効果を認め,体幹+四肢群は,他の2群と比べて,また,罹患期間が3ヶ月以上の群は,3ヶ月未満の群と比べて有意に高値であった。オッズ比は疼痛部位 (体幹+四肢/体幹/四肢)で3.1,罹患期間 (3ヶ月以上/3ヶ月未満)で1.8であった。EQ5D, BPIは,体幹+四肢の群と他の2群に有意差を認め,罹患期間ではPain intensityでのみ有意差を認めた。疼痛が広範囲に及んでいる患者は,CS関連症状を呈するリスクが高く,臨床症状にも関連しているため,CSの影響を考慮して治療を選択する重要性が示唆された。 本研究の結果から,体幹+四肢に疼痛を持つ患者に対して,疼痛教育の介入を行っていく・
|