研究課題/領域番号 |
17K01544
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
森沢 知之 順天堂大学, 保健医療学部, 准教授 (80552512)
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研究分担者 |
高橋 哲也 順天堂大学, 保健医療学部, 教授 (00461179)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心臓外科手術 / リハビリテーション / フレイル / 予後調査 |
研究実績の概要 |
心臓外科手術後の中・長期予後に関わる要因を明らかにする目的に、心臓外科手術前から標準的に心臓リハビリテーションを実施している全国7施設の協力のもと、研究を実施している。今年度は対象者(440名)の退院12ヵ月後の予後調査を行った。これまで全ての症例の退院12ヵ月後の調査は完了しており、次年度は退院24ヵ月後の調査を行う予定である。令和元年度の研究成果として以下の二演題を関連学会で報告した。 ①高齢心臓外科患者の退院後の生活機能の変化と関連因子について 全国7施設で待機的に心臓外科手術を受けた65歳以上の高齢患者202例を対象に、生活機能を術前と退院6ヵ月後に評価した。退院後に生活機能が悪化した症例は46.2%であり、これらの群は退院時の身体機能が有意に低く、退院6ヵ月後の生活機能が有意に上昇し、健康関連QOLは有意に低下していた。生活機能悪化に関わる因子として術前生活機能、退院時身体機能が抽出された。以上のことから高齢心臓外科患者の約半数に退院後の生活機能低下が認められ、その因子として術前からの生活機能と退院時の身体機能が関連することを明らかにした。 ②高齢心臓外科術後の入院中の身体的フレイルの回復の有無は短期予後に影響する 本研究は術前から術後退院までの身体機能の変化が高齢心臓外科患者の短期予後に及ぼす影響を明らかにすることである。対象者(223例)をフレイル群とフレイルなし群に分類し、フレイルなし群はさらに術後順調群、術後回復群、術後低下群に分類し、基本属性、周術期臨床データおよび退院6ヵ月後の死亡率、再入院率、健康関連QOL、生活機能を比較した。術後に身体機能が低下した症例は約2割存在し、予後も不良であった。以上のことから、術後に身体機能が改善しないまま退院することは症例の短期予後を悪化させることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は多施設共同研究であるが、研究協力施設すべての倫理審査委員会の承認を得るのに時間を要したため、研究開始時期が当初より遅れた。そのため、退院24ヶ月後の全ての調査が予定の期間で終了しないため、1年間の延長申請を行った。
その他は順調に経過しており、予後調査の返却率は8割を超え、順調に研究は進んでいる。今年度中には全ての調査を終える予定である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、各研究協力者と連携し、退院後の追跡調査を進める。次年度は最終年度あるため、これまで以上に連絡や会議に多くの時間をとり、最終的なまとめを行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遂行が当初の予定から遅れており、次年度使用額が生じた。
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