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2019 年度 実施状況報告書

視覚障害者の映像鑑賞における音声合成利用の可能性と新展開

研究課題

研究課題/領域番号 17K01553
研究機関秋田大学

研究代表者

中島 佐和子  秋田大学, 理工学研究科, 講師 (40453542)

研究分担者 大河内 直之  東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (30361679)
水戸部 一孝  秋田大学, 理工学研究科, 教授 (60282159)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードバリアフリー / 視覚障害者 / 音声ガイド / 音声合成 / 映画・映像 / メディア / 聴覚心理
研究実績の概要

研究の3年目は,これまでの研究成果に基づき,音声ガイド制作コストを削減するために必要な,音声合成を用いた音声ガイド制作ソフトのインタフェース開発に注力した.音声ガイド制作現場での調査,および,従来の音声ガイド台本分析を通じて,音声ガイド制作者は単に音声ガイドの文章を作るだけでなく,音声ガイドの読み方,声質,声色も踏まえて文章を書いていることがわかった.音声ガイド台本には備考としてナレーションへの指示が記載されている.ナレーターの喋り方や声の特性を把握し,スタジオ収録時にナレーターへ指示出しするのも音声ガイド制作者の役割である.合成音声を用いた音声ガイドの質を高め普及させるためには,ナレーターに代わり音声ガイドの読み方も含めて台本制作を担うことになる音声ガイド制作者が技巧を発揮し,合成音声の良さを引き出せるソフトウェアが必要である.そこで本年度は,音声ガイド制作者の従来の制作環境に馴染むように表計算ソフトと連携させ,音声ガイド台本入力,音声波形を用いたフレーム単位でのイン点設定,話速設定,音量設定用のインタフェースを一つのワークスペースに統合した,音声合成を用いた音声ガイドのオーサリングソフトを作成した.開発したソフトを用いて,音声ガイド制作者が映画予告編の音声ガイドを制作し,制作コスト,ユーザビリティなどを評価した.その結果,昨年度までの検証実験では不可避であった,音響スタジオにおける合成音声の音声ガイドのイン点や話速の修正作業を削減することができた.これにより,本来目的としたナレーター収録コストの全てを削減できたことになる.しかし,依然として音声ガイドの質はナレーター音声に比べると低い.評価実験では映画製作者や音声ガイド制作者からの具体的な意見を得て,今後の課題も得られた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究当初に予定していた「音声合成を用いた音声ガイド制作ソフト」の開発,および,映画製作者と音声ガイド制作者によるソフトウェア評価は遂行できた.しかし,本ソフトを用いて制作した音声合成に対する視覚障害者からの評価は計画の一部が実施できていない.

今後の研究の推進方策

開発した音声ガイド制作ソフトの課題をまとめると同時に,今後の改良に向けて重要な要素について視覚障害者からの評価を得る予定である.それらの結果を得て,本研究の成果をまとめる.

次年度使用額が生じた理由

ソフトウェアの試作や映画製作現場での実証実験などは順調に進めることができたが,研究開始当初に想定していなかった「話速変換の要望」などの課題が新たに発見されたため,その対応に時間を要した.主に,視覚障害者への評価と成果報告がやや遅れている.3年目までに実施できなかった視覚障害者を対象とした評価実験や音声ガイド制作者を対象とした評価実験の残りを移行した.研究成果のための費用を含め,それら評価実験に必要な経費については,次年度の早い段階で使用する予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] スペシャル鼎談「みんなで楽しむバリアフリー映画の魅力を語る」ー「猫の恩返しバリアフリー版製作の現場をご紹介しながら」ー2020

    • 著者名/発表者名
      森田 宏幸,佐々木 亜希子,大河内直之
    • 学会等名
      DPI日本会議
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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