研究課題/領域番号 |
17K01554
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野口 博史 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (50431797)
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研究分担者 |
仲上 豪二朗 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (70547827)
森 武俊 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任教授 (20272586)
荒木 大地 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (10799787)
高橋 聡明 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (50824653)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 3次元スキャナ / LIDAR / 超音波画像処理 |
研究実績の概要 |
本申請課題では,看護師を中心とした医療者がベッドサイドで四肢の状態をより詳細に把握できることを目指して,超音波プローブによる浅部組織の計測,測域センサLIDARとミラーの組み合わせによる身体表面形状計測,また,IMU(3軸加速度・角速度センサ)によるデバイスの姿勢計測の組み合わせにより,腕や足を走査するだけで3次元計測可能なスキャナの構築を目指している. 本年度では,表面形状取得のプロトタイプデイバスの改良並びに,超音波画像処理の改良について取り組んだ.特に,臨床経験のある看護研究者との議論から実臨床応用を考慮し,スキャナの用途を血管穿刺支援向けに絞ることにした.それに合わせプロトタイプの改良並びに,超音波画像処理を改良した.表面形状取得のプロトタイプデバイスでは,小型測域センサであるLIDARと腕や足の側面を計測するためのミラー部から構成された構造になっていたが,ミラー部が側面等も計測することを考慮していたためスキャナ自体のサイズが大きい問題があった.そこで,安全性や臨床環境での利用,看護師の操作性考慮し,前面領域のみを計測することにした.それに合わせてミラー形状を再設計することで,それらの問題を解決し,また,それに関係し,キャリブレーション方法を既知平面の計測データから算出する方法へと改良した.また,超音波画像処理については,血管だけでなく穿刺中のカテーテルの位置を推定することとし,高輝度領域として検出が容易なカテーテル領域をテンプレートマッチングとフィルタの組み合わせにより検出手法を開発し,その情報を利用しつつ血管領域を検出する手法を開発した.また,それらの結果からプローブの水平移動を仮定した上での血管とカテーテルの3次元構成する方法も開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では,スキャナのプロトタイプデバイスの改良,並びに,超音波画像群からの血管形状推定の改良・穿刺中のカテーテル検出に取り組んだ.当初は,表面形状の3次元構築のためのアルゴリズム構築に取り組む予定であったが,臨床での利用を考慮しスキャナデバイス自体の改良を優先させた.一方,超音波画像群からの処理については,筋肉層や脂肪層などに構造の認識を行う予定であったが,スキャナの応用対象を穿刺後のカテーテルに変えたことに伴い,認識対象をカテーテルとし,自動認識する方法を開発した.また,先行して,血管とカテーテルの認識データからの3次元化にも取り組んでいる.以上のことから,当初の予定とは異なる部分もあるものの,概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度としては,作成したプロトタイプスキャナによる計測データの統合による3次元化に取り組む予定である.具体的には,前年度取り組む予定であった2次元輪郭データとIMUデータからの3次元表面形状構築に取り組む.位置推定には,プローブの動きが一定であることや,プロトタイプデバイスでは腕へ並行して操作者が動かすことを仮定することで,位置情報を推定する.また,超音波画像群の連続性も利用することで,推定精度をあげることを狙う.それによりプローブを利用することにより,腕の前面3次元表面と同時に血管の深さなども含めた走行の3次元化,また,カテーテル穿刺後のカテーテル位置の可視化などに利用できる3次元情報の取得が可能なアルゴリズムを構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
スキャナの再作成を優先し,3次元計測の確認実験が次年度にずれ込んだだめ,次年度使用額が生じている.次年度には当初の予定通り確認実験用の装置を作成し使用する予定である.
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