研究課題/領域番号 |
17K01560
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小谷 信司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80242618)
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研究分担者 |
渡辺 喜道 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00210964)
渡辺 寛望 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30516943)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 視覚機能 / 重複肢体不自由 / 階層構造 / 複数カメラ |
研究実績の概要 |
前回の科研費の支援の基、3年間の取り組みにより、日本脳炎など後天的な重複肢体不自由者の場合、視線の制御は可能になり、図形識別、文字入力,三次元識別が可能であることが判明した。脳性マヒなど先天的な障害の場合、その段階に進めない生徒が数多くいる。そこで本研究では人間の早期視覚機能の実現を階層構造型PC群と12台のカメラにより実現し、人間の「見る力」の解明を目指している。 初年度の取り組みは、階層構造型PC群の構築と複数台カメラからの画像を高速に処理する画像認識アルゴリズムの構築である。PC群には、複数の RaspberryPi を利用した。複数台カメラからの画像を各 Raspberry Pi に割り振り、処理を行った。画像認識アルゴリズムは、OpenCV ライブラリーを有効に活用し、独自の拡張を行った。各 Raspberry Pi での処理結果は、有線LANを利用して、上位の Raspberry Pi に転送して、さらなる抽象化を行った。 階層構造型PC群の最下層レベルは、人間の視神経に相当するノイズ付与や画像データの遮断の機能である。一つ上位のレベルは、V1野(方位選択性)である。 V1野の処理結果をさらに一つ上位のレベルのMST野(直線運動、拡大・縮小、回転)で処理を実現している。Raspberry Pi は、処理コストの大きなアルゴリズムを実行すると、熱を発生するので、熱対策を行った。 支援学校での取り組みのための評価装置である、光トポグラフィー、及び、視線によるヒートマップ取得のための予備調査を行った。 2年目の取り組みは、下位からの画像認識の結果を統合したV1野、V2野、V4野の実現である。膨大な下位からの情報を上位PCで処理を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
階層構造型PC群の最下層の Raspberry Pi(人間の視神経に相当するノイズ付与や遮断の機能)、及び、その一つ上の層のRaspberry Pi(V1野:方位選択性)、さらに一つ上の層のRaspberry Pi(MST野:直線運動、拡大・縮小、回転) までの実装を行っている。 処理コストの大きな画像認識アルゴリズムを実行する場合、Raspberry Pi の CPU 負荷が上がるため、熱対策を行った。さらに、上位層への画像データ転送の場合、有線LANアダプター部が熱くなるため熱対策を行った。 画像認識アルゴリズムは、V1野、MT野、MST野の実装を行い、さらに高速な処理が出来るように改良中である。膨大な下位からの情報を上位PCで行っているが、情報量が多すぎ、リアルタイム処理が行えていないのが現状である。今後、GPU処理の導入を行い、現状の問題点を解決する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
階層構造型PC群の上位層の実装を行う。具体的には、下位からの画像認識の結果を統合して、V1野、V2野、V4野、MST野の実現を目指す。 平成29年度、30年度に研究開発した人間の早期視覚機能実現のプロトタイプシステムに様々な外乱を発生させて、先天的な障害、後天的な障害、障害のレベル、障害の原因を作り出し、それらを補い、訓練するソフトウエアを研究開発する。 研究開発したソフトウエアを県内支援学校の生徒に使用してもらい、課題の定量的評価を継続的に行う。定量的評価手法は、光トポグラフィーと視線のヒートマップである。取組対象者を年齢、性別、先天的、後天的、障害のレベル、障害の原因と分け、分類することにより、一般化を行う。 過去7年間強固な協力体制を築いてきた県内支援学校での取組みは、すでに、初等部、中等部、高等部に視線検出装置と視線ヒートマップ取得ソフトウエアを導入済みであり、支援学校教諭による装置の操作が可能な状況であるため、生徒による取組みは効率良く行うことが可能である。県内支援学校には医療センターが併設されており、山梨大学医学部教員がいるため、医学的見地からの所見を得ることにより、さらに一般化を行うことが可能である。研究開発するソフトウエアは、医学部教員、支援学校教諭と意見交換を随時行い、継続的改善を行う。 膨大な下位からの情報を上位PCで行っているが、情報量が多すぎ、リアルタイム処理が行えていないのが現状である。今後、GPU処理の導入を行い、現状の問題点を解決する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終的な上位階層ワークステーション一式の仕様の策定に手間取り、発注を行うことが出来なかった。平成31年度前期に高速処理が実現可能なGPUを搭載した機種の仕様を確定し、発注を行う。
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