我々は地域で活用でき,記憶課題,注意課題,言語課題,遂行機能課題を網羅したPCとタブレット型端末の両方で実施できる認知機能向上プログラム(アプリケーション)「脳ケア」の開発を行った.本研究では,スクリーニング課題の妥当性の検討を行い,さらに約4000人からなるビッグデータを用いてデータベースの構築を行うことにより,「脳ケア」の有用性を検討することを目的とした. 令和元年度は平成29年度,30年度に地域在住高齢者を対象に行ったMoca-Jの評価結果,IADL(老研式活動能力指標)・ソーシャルサポートネットワーク(Lubben Social NetworkScale-6)について解析を行った.ソーシャルサポートネットワークとIADLに有意な相関が認められた. 令和2年度はスクリーニング課題の妥当性の検討を行なった.スクリーニング課題の「記号・数字照合課題」と「カード選択課題」はMoCA-Jと有意な相関関係が認められた.しかしながら,全問正解者の回答時間のみで検討を行ったため,全問正解でない対象者の結果をスクリーニングテストにどのような重み付けを行って反映するかについては,さらなる検討が必要と思われた. 令和3年度は全問正解でないものも対象とし,正解の回答時間の平均を正解率で除することで得られるInverse Efficiency Score(IES)を算出し,MoCA-J合計得点の関連の検討を行った.その結果,(2) 記号・数字照合課題,(3) 有関係記憶課題,(6)カード選択課題とMoCA-Jと有意な相関関係が認められた.,認知症スクリーニングテストしての有用性が示唆された. 本結果を,開催が2022年3月から8月に延期された第18回世界作業療法学会にて報告予定である.
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