研究課題/領域番号 |
17K01580
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
武藤 剛 文教大学, 情報学部, 准教授 (50433701)
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研究分担者 |
武藤 ゆみ子 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 研究員 (30614614)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | aging / gait motion / posture / elderly |
研究実績の概要 |
研究の第1段階として,非接触のモーションキャプチャ機能が実装された歩行姿勢の評価システム“DOCTORS’S EYE”(テレビジネス社製)を用いて,加齢により生じる体の歪みを定量的に分析し,それを新たな年齢指標(歪み年齢)として推定する,工学的な応用を念頭においたモデルの提案を行った.具体的には,健康な高齢者及び若年者,各20名程度を対象とした歩行姿勢及び,着座姿勢に関する計測実験を行い,高齢者と若年者の間の違いに関する分析を行った. その結果,高齢者の座位の姿勢に関しては,若年者に比べより前傾となること,そして,筋力や平衡感覚だけではなく,教育や習慣に基づく姿勢に対する若年者の意識の違いが影響している可能性を示した.一方,歩行姿勢に関しては,高齢者は,若年者と比べ,直立静止時と歩行時の間で,体の前後方向に関する体の歪みの大きさに顕著な違いがあり,この変化に注目することが体の歪みを評価するうえで必要であること,そして,そのためには本研究で用いられているような歩行運動時の姿勢を簡便に計測できる装置によって評価することの有効性を示した.また,加齢と体の歪みの関係を調べた結果,直立静止時における高齢者の年齢と,右肩と頭の水平距離および,歩行時と直立静止時の腰と頭の水平方向の距離の差に有意な正の相関があることが明らかとなった.さらに,この2つの相関から,今後DOCTOR’S EYEへの実装など,工学的な応用を念頭に置いた,高齢者の姿勢の改善メカニズムの解明につながる体の歪み年齢を推定するモデルの提案を行った
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時点において,29年度は,開発目標の装置の最も重要な実装機能である歩行姿勢の評価システムの構築と精度評価を行うことを計画していた.これに対し,実際の進捗については,若年者及び,高齢者の歩行姿勢及び着座姿勢に関する評価実験を実施した.さらに,その結果に基づく高齢者の姿勢の改善メカニズムの解明につながる体の歪み年齢を推定するモデルの提案もできており,ほぼ計画通りの成果を得ることができたと考えられるため.
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今後の研究の推進方策 |
高齢者の歩行姿勢の改善プロセスを,認知の伴わない外因性の改善プロセスと,外部環境の認知に基づきボディイメージを補正していく内因性の改善プロセスの2種類に分類し,それぞれのプロセスを扱うことのできる形式の訓練システムの開発を進める. 具体的には,申請者の先行研究に基づき,肢体運動の改善プロセスが,認知の伴わない外因性の改善プロセスと,外部環境の認知に基づきボディイメージを補正していく内因性の改善プロセスの2種類に分類し,それぞれのプロセスを扱うことのできる形式の支援手法の構築と提案をすすめる.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)計画段階で購入を予定していた,歩行姿勢計測装置(テレビジネス社製)を無償で借り受けることができたため,物品費の使用を減額したため,予算を十分消化することができず,次年度使用額が生じた.
(使用計画)平成30年度以降,歩行姿勢の改善を目的とした訓練装置の開発を進めるため,最新型のモーションキャプチャ装置の購入と,それへの機能実装の費用として活用する.
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