研究課題
本研究では,歩行姿勢の評価システム“DOCTORS'S EYE”(テレビジネス社製)を用いて,加齢により生じる体の歪みを定量的に分析し,それを新たな年齢指標(歪み年齢)として推定するモデルの提案を行ってきた.特に,高齢者の転倒リスクに直結する歩行姿勢に関して,高齢者は,若年者と比べ,直立静止時と歩行時の間で,体の前後方向に関する体の歪みの大きさに顕著な違いがあり,この変化に注目することが体の歪みを評価するうえで必要であること,そして,そのために は本研究で用いられているような歩行運動時の姿勢を簡便に計測できる装置によって評価することの有効性を示してきた.さらに,これらの知見に基づき,歩行姿勢の補正を支援する訓練手法として,レーザーポインタを手で持ち,それから照射されるレーザー光を正面の的に当て続けながら歩く形式の課題(LP課題)と,それを自宅などでも簡易に実施できる形式に改良したバーチャルポインタ課題(VP課題)を新たに提案し,それを用いた歩行実験における高齢者の姿勢の歪みの補正効果を分析した.その結果,LP課題の遂行中において,高齢者の姿勢の歪みや,体のふらつきが低減すること,そして,そのような効果が,的上のポインタの動きとして示される情報のフィードバックによって実現されていた可能性を明らかにしてきた.また,同様の姿勢の補正効果がVP課題を実施中の歩行においても見られることも確認し,そのための装置の開発を進めた.
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