近年、国内外で片麻痺の上肢機能訓練用ロボットの開発がなされているが、それらはいずれも高価で大装備であるため、一般には普及しづらい。そこで、研究代表者らは比較的安価で作成でき、ポータブルかつ簡単な操作で使用可能な上肢訓練機器の開発をめざしている。本研究の目的は、脳卒中片麻痺上肢に対する簡易訓練機器を開発し、その効果を検討することである。 前研究では机上で2次元のリーチ動作を行わせる簡易訓練機器を作成したが、今回は空間での滞空能力が必要になるよう機器そのものをスティック型とし、スティックの上部に患手を載せることで上肢の重みを軽減しながら、3次元のリーチ動作の訓練ができるものとした。スティックの下部のボールジョイントにセンサーを取り付け、ミニパソコンをつないだテレビやモニター画面に映る課題に合わせてリーチ動作訓練を行うものである。また、複数のゲームを用意し、楽しみながら訓練ができるものとし、さらに運動の軌跡や訓練経過の記録もできるよう工夫した。様々な試行や修正を繰り返し、スティック型簡易上肢訓練機器は完成することができた。 効果検証については、最終年度も開発した腕用訓練機器について協力を得られる病院等で効果の検証を継続した。しかし、繰り返される新型コロナの感染者数増加の度に病院・施設の人的、および感染対策環境の問題から、得られたデータ数が効果検証に十分とはならなかった。しかし、現在までのデータでの結果解析を試み、論文を執筆中である。 また、前述の腕用スティック型訓練機器の基部を利用し、これまでになかった手関節の背屈、掌屈、撓屈、尺屈、分回し運動が可能な手用訓練機器を作成し、試用と修正を繰り返し、完成することができた。
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