研究課題/領域番号 |
17K01587
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
高尾 秀伸 神奈川工科大学, 創造工学部, 教授 (60329307)
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研究分担者 |
中根 雅文 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任助教 (90383926) [辞退]
片山 遼介 神奈川工科大学, 創造工学部, 研究員 (50867447)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 視覚障害 / 拡張現実 / 聴覚 / インタフェース |
研究実績の概要 |
ユーザを目的地まで導くナビゲーション機能の携帯情報端末への実装を行なった。これはリルート機能を有し、立体音源を鳴らし続けることでユーザを聴覚的に導く。携帯情報端末の磁気・ジャイロセンサとシステム内のカメラを連動させることで、ヘッドトラッキング機能を実現した。この機能により、ユーザの音源に対する知覚方位誤差を減少させることができ、誘導の正確性が向上できる。また、ジェスチャ機能の実装を行なった。このインタフェースはジェスチャコントロールによる仮想空間への介入を行うインタフェースの導入を想定している。例えば,大型商業施設内にある店舗に固定した音オブジェクトに対しユーザが指差しのジェスチャにて自由に動く音オブジェクトを仮想空間内で重ね合わせることで店舗を選択することができる。このインタフェースの実装を行う場合、固定した音オブジェクトと自由に動く音オブジェクトをどれだけ正確に重ねることができるかが重要となる。そこで、この正確性を評価するため知覚方位誤差実験を行った。障害当事者による評価が困難な社会状況であったため、男子大学生7名を対象として実施した。実験は被験者調整法を用いた。具体的にはアイマスクおよびイヤホンを装着してもらった実験協力者の頭部正面0°から後ろ180°の右側半径5メートルの仮想円周上に基準音をランダムに配置し、これに比較音をキーボードを操作して重ね合わせる課題とした。音源はホワイトノイズを使用した。実験は神奈川工科大学D3号館認知行動科学室で行った。結果、前後の取り違えを除いた場合、知覚方位誤差の平均値は最大でも12.1度となった。設計上の許容値は16度を想定していたため、本結果は許容値内ということになり、実用的であると結論された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍の影響により、当事者ユーザによる評価が困難な状況が続いている。そのため、急遽晴眼者の大学生を対象に視覚遮断した状態で一部の評価実験を実施した。同じく、リモート勤務などの影響で研究開発が一部当初の予定通りに進まなかった。しかし、全体的には最終年度の実証実験に向けた携帯情報端末への実装が概ね終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ蔓延による社会情勢の変化を鑑みながら、視覚障害当事者を対象とした実証実験実施に向けて推進する予定である。ただし、当事者の実地参加が困難な状況が続いた場合、オンライン会議システムを用いた仮想的な実証実験を検討する。同時に、どうしても実地で検証が必要な機能に関しては、学内において視覚遮断された晴眼大学生を対象に実証実験を実施することも視野に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
期間延長に伴い、最終年度の実証実験の準備に必要な予算確保のため。
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