研究課題/領域番号 |
17K01590
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
内田 恭敬 帝京科学大学, 生命環境学部, 教授 (80134823)
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研究分担者 |
本間 信生 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (20252017)
浅野 泰仁 京都大学, 情報学研究科, 特定准教授 (20361157)
舩山 朋子 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (20460389)
大久保 英一 帝京短期大学, 帝京短期大学, 講師 (30529722)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 機械学習 / SVM / フレキシブル型感圧センサ / クラウドアンケート / 生活活動量 |
研究実績の概要 |
圧力センサを使用したリアルタイム活動状況測定システムの開発とクラウドサービスを利用した生活活動状況評価法について検討した。 (1)リアルタイム活動状況測定システムに関しては、起き上がりおよび歩行の変化を検出するためベッド端と床に設置したストライプ状の8個のフレキシブル型感圧センサとデータロガーの組み合わせで得られた信号から3組の2特徴量を選び出し、3クラス分類を行った。小型のPCボードで動作可能なソフトPythonによりサポートベクターマシン(SVM)を用いた分類を被験者に模擬的な2種類の運動制限を行った場合と無制限の場合での測定を行いベッドサイドと歩行中のセンサからの信号を用いて、教師あり学習を行いテストデータで正解率を調べた。その結果、十分な学習データが得られていない状況であるが、多層ニューラルネットワークを用いなくとも80%以上の正解率が得られることが分かった。 (2)生活活動状況評価に関しては、ウェラブル機器による脈拍測定と同時間帯の活動記録を試験的に実施した。日常的に記録を行うには簡便に使える必要がある。被験者により生活活動が異なっていることや非日常的な行事的活動の記録の追加、集計などで記録及び操作が煩雑になる傾向となったため、クラウドサービスを利用したカレンダー形式の記録方法へと変更した。活動状況の評価精度を向上させるため多くの情報を入力してもらうことが有用であるが、被験者によるデータ入力に関しての問題とウェラブルによる生体情報記録との整合性の点において課題が判明した。問題可決のため、必要な活動記録の最低項目、生体情報との整合性を図るための最低記録頻度を今後検討する予定である。また、入力者の負担軽減のためアンケート項目数の減少を行い追加で自由記述欄を設けてテキストマイニングなどの分析手法を用いることも試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ベッドからの起き上がりとそれに続く歩行時の状態を8個のフレキシブル型感圧センサを用いた簡易検出システムに機械学習を導入して改良するため、センサの応答時間の組み合わせから、2特徴量3クラス分類を行う機械学習を行った。運動制限に関しては右膝関節運動制限状態・右上腕固定による肩関節運動制限状態・運動制限無の3状態を想定した。機械学習で特徴量として有効と考えられる3通りの組み合わせを用い、それぞれ10個ずつ合計30個の教師データとそれぞれ5個ずつのテストデータを用いて正解率を求めた。分類には最も適すると考えられるSVMを用い、カーネルとしては線形と動径基底関数を用いた。最適化により正解率は80%以上が得られた。 今回収集したすべてのデータを用いて機械学習により被験者を区別、同一の運動制限の有無の分類、運動制限状態の分類を試みた。各データファイルを0.1秒分のデータを1ベクトルとして扱い、クラス分類手法としてはSVMを用い、カーネルはガウシアンカーネルを用いた。分類タスクごとのデータの総数によって、パラメータを最適化した。その結果、運動制限状態の有無は7群交差検証で95.3%、運動制限状態の違いは5群交差検証により90.4%で正解が判別できることが確かめられている。 Googleのクラウドサービスを用いたアンケート調査をおこなったが、記載に時間及び集計及び管理に関して自由度が少ないことが分かった。継続可能な点を重視して必要最小限の内容を10段階のクリックによる選択とし、追加で自由記載できるように変更した。市販のクラウドサーバー利用に変更して、被験者の追加や集計担当の変更等も容易となった。精度の向上、日常的な記録の継続、ウェラブルによる生体情報記録との整合性の点において課題が判明した。現在、市販のウェアラブル装置で収集しているデータとの対応をどのようにとるのかを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
LabVIEWのデータロガーを用いて測定条件を変え機械学習のための体調変化のデータ収集を行う。歩行時の体調の変化がより顕著にわかる透析後の患者の状態を測定する。それらのデータを機械学習させることで本システムの可能性を検証する。歩行時の初期的データからセンサ形状を1cm幅のストライプ状から幅を広げることと、配置を工夫することでより効率的に体調変化のデータがえられる可能性が出てきているので、センサの形状及び配置についても検討して高性能化を目指す。 データ分析の結果から、0.1秒ごとに各センサからのデータを取り込めばよいので、高価なデータロガーを用いずに、デマルチプレクサ―ICを用いて、AD変換機能が組み込まれているラズベリーパイかアルディーノ等の安価なワンチップPCボードが有するセンサとの通信機能を利用したソフトを組み合わせることで簡易システムを試作しテストする。 このシステムに、機械学習させた分類機能を組み込んだより高性能なPCを利用して機械学習させた機能を取り込ませることでワンチップPCボードの分類機能が向上できるかを検証する。 市販の活動記録調査機能を最適化することで、入力しやすくかつウェアラブルウォッチのデータと対比しやすくする方法を検討し調査を行い体調変化との関連を調べる。現有のソフトを使い質的変化を検出する方法の検討を行う。また、テキストマイニング等の量的変化も取り入れられるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在使用している感圧型フレキシブル抵抗器が幅1cm×長さ60cmの形状をしているが歩行測定の波形を初期的に分析した結果、歩幅との関係でセンサの数を増やすのではなく、幅方向の圧力変化が捉えられること、左右の足への体重の分散状況に関するデータが得られることが重要となる可能性が高いことが予測された。このためシステムを再構築する可能性があり次年度に使用することを計画している。 ウェアラブルウォッチのデータとクラウドサービス利用を拡大する可能性があり、一部をこのために利用することも計画している。
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