研究課題/領域番号 |
17K01601
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
小浦 誠吾 西九州大学, リハビリテーション学部, 教授 (90310044)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 認知症予防 / 能動的園芸療法 / 受動的園芸療法 / アロマ / ハンドケア / ガーデン |
研究実績の概要 |
認知症予防としての非薬物療法は多様であり、それぞれの効用は当事者である認知症者やMCIの方およびそのご家族が受け入れ前向きにかつ継続的に取り組むことができれば期待できる。しかしながら、近似記憶が低下しやすい当事者に、非薬物療法を受け入れ継続して頂くためのアプローチ方法に関する知見は、現在までほとんどみられない。そこで、能動的及び受動的園芸療法のアプローチ技術としての有用性に焦点をあてた認知症予防の能動的+受動的園芸療法の効用を多面的に捉える研究を継続した。 次年度の「認知症の能動的+受動的園芸療法ケアマップ」作成に向け、臨床実践や研究データ集計・精査を実施した。その中で、自然と一体化する園芸活動を認知症予防の他の技法の引き金薬としての可能性が見いだされ、その効果は、受動的な植物抽出油を使用するハンドケアトリートメントにおいても期待されることが判明した。また、ハンドケアトリートメント施術によるMCIから初期の認知症への移行予防効果も期待できるパイロットデータも獲得した。 各種認知症予防技術とのコラボレーションの相性が良いことが改めて示されたことから、認知症予防に大切な対象者との真のコミュニケーションの構築を含めたマッピングに取り組むこととした。 MCIから初期の認知症への以降は、1年後で10-12%、4-5年後には50%以上が移行するとされるデータが氾濫しているが、一方で、14-44%のMCI者が健常(正常)に戻るというデータも存在するため、今後研究成果を集約し、正常に戻る確率が向上することが期待できる能動的+受動的園芸療法技術を明確化していきたい。 家族や生活の問題が表出しやすいという認知症の特徴が理解され始めており、最終的に作成するマッピングは、マインドマップ手法を取り入れ、少しでも普及しやすい資料とする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症予防としての非薬物療法のアプローチ技術として、能動的+受動的園芸療法の効用を多面的に捉える研究を継続した。 最終目標である「認知症予防技術特にアプローチ技術としての能動的および受動的園芸療法ケアマップ」の作成に向けて、基本資料が整いつつある状況であるため。
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今後の研究の推進方策 |
能動的+受動的園芸療法の効用を多面的に捉える研究を継続しつつ、並行して「認知症予防技術特にアプローチ技術としての能動的および受動的園芸療法ケアマップ」の作成に向けて、実際にマッピングの実施に取り掛かることで、研究が推進できるものと期待している。 最終的には、日本認知症予防学会、人間・植物関係学会日本園芸療法学会合同学会または国際園芸学会などで、研究成果のまとめを積極的に公表し、資料を集約した形での関連学会誌への投稿を計画している。 研究計画にはなかったものの、ハンドケアトリートメント施術技術のMCIから初期の認知症への移行予防効果が期待される知見は、次年度のマッピングに取り入れて研究成果を示したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床実践活動移動費と測定機器消耗品及び材料費を必要とします。 加えて、2018年度に使用予定であった国際園芸学会移動費を、2019年度に移行(12月、バンコク)させ、発表のための演題登録を済ませています。国際学会参加経費と移動費に活用させて頂く予定です。
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