研究課題/領域番号 |
17K01609
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
伊藤 納奈 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80392588)
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研究分担者 |
渡邊 洋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (20358386)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロービジョン / ダイナミックサイン / 視認性 / プロジェクション / 文字 / ピクトサイン |
研究実績の概要 |
高齢者やロービジョン(全盲ではない視覚障害者)は視機能の低下により、重要な公共サイン、避難や災害情報を見逃す可能性がある。近年プロジェクションマッピング(図1)や津波避難情報など、アニメーションや点滅のような動的で複雑な情報案内が多方面に急速に広がりつつある。このような動きや時間的な変化のある視覚情報を用いた案内表示をここでは“ダイナミック・サイン(動的なサイン)”と呼ぶ。今後急速に拡大するダイナミック・サインを確実に伝達させることは高齢者・障害者配慮の観点でも必須となる。本研究では、新しいダイナミック・サイン開発のための、ロービジョンや高齢者に見やすい動的な文字や記号等の設計方法について実験的に検討することを目的とする。今年度は、初年度のためロービジョン者を想定した実験方法の検討と実験環境のセットアップを行った。 <実験環境>プロジェクション表示床面のセッティング、提示用プロジェクターの設置と組み立て、また環境照度の値の決定を行った。 <提示刺激内容>コントラストと見やすさとの関係を検討するため、視距離に対する文字の大きさと背景とのコントラストを検討した。提示刺激内容、背景と提示刺激の輝度、提示順序、提示刺激の大きさ、提示時間の制限の有無を検討した。刺激のコントラストは十分見やすい状況からかなり見えにくい状況まで網羅できるよう検討した。 <実験方法>1つの種類の刺激に対し、同じ輝度コントラストが3回提示されるようランダマイズして提示するプログラムを作成した。全ての刺激で静止状態で提示されるものを作成した後、一部の刺激については一定の速度で移動するプログラムも同時に作成した。また回答方法は見やすさの主観評価に加え、何が見えたかの正答率も記録することとした。さらに健常者で予備実験を行い、実験の総時間、休憩時間の頻度と長さ、教示の適切さ、解答用紙の適切さについて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度として実験環境のセッティング、実験方法の確立が概ね終了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ロービジョン被験者による実験を開始する。今後の課題として、健常者で問題がなかった実験方法・実験環境において、ロービジョン者が安全にまた負担が大きすぎることなく実験が遂行できるかを検討する。特にロービジョン者は一般的に見えにくい場合が多いため予備実験よりさらに時間がかかる可能性があるため、時間配分については十分吟味する。その上でロービジョン者のデータを計測を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験セットアップのため、予定より長い人件費の支払いが生じたため。
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