本研究の目的は、CKDのどのステージが要介護認定の発症と独立して関連しているか、また、CKDと身体活動の質的観点からその関連性を明らかにし、最終的にはどの身体活動パターンがCKDによる要介護認定発症の予防へ繋がるかを明らかにすることを目的としている。2018年度は、CKDにおける座位での生活時間と要介護認定発症との関連について4年間の縦断的解析を実施してきた。その成果として、座位での生活時間が長いほどCKDの4年後要介護認定発生に及ぼす影響は強くみられた。この結果は本年度国際誌に公表した。また、前年度行った、腎機能の低下と社会的フレイルとの関連に関する解析結果の論文化を進めている。腎機能は一度低下してしまうと元に戻らないといわれている。しかし、そのエビデンスは十分とは言えず縦断的解析が必要と思われた。そこで、本年度は4年間の縦断データを利用して腎機能の低下傾向を確認し、慢性でありながらも改善する可能性があることを明かにしてきた。その結果として、約25%のCKDが正常に戻っていた。また、主な関連因子はアルブミンであり、高いアルブミン値を示したCKDは4年後正常に戻る可能性が約3倍高かった。CKDであっても高いアルブミン値を保つことで腎機能低下の予防が可能であり、さらに、正常に戻られる可能性が示唆されたことは慢性腎臓病に関わる研究を進める上で参考にすべき知見と思われる。
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