研究課題
認知症の危険因子として、日常生活における不活動(inactivity)が指摘され、運動や日常生活での活動者は不活動者より、認知症発症のリスクが軽減することや、MCIから正常への回復とも関係することが報告されている。日常生活での活動は様々な形態があり、先行研究によると、身体活動のみならず知的活動や、社会との関わりがMCI高齢者の認知症抑制に効果的である可能性が示されているが、活動の身体、知的、社会活動のパターンは年代によって異なる可能性が高く、加齢に伴う脳萎縮に活動実施がどのような影響を及ぼすかについて、科学的根拠は乏しい。本研究では、非薬物的な認知症予防方法として、地域密着型の戸外活動を用い、客観的に測定した活動状況と脳萎縮、認知症発症との関連を検討することで、認知症予防に有効であるライフスタイル提案を目的とする。対象者は、国立長寿医療研究センターが実施するコホート研究(NCGG-SGS)に参加した地域在住高齢者4,195名のうち、MRI検査に参加し、日常生活における活動量と戸外活動(身体・知的・社会活動)を客観的測定した高齢者とした。また、初回の検査から約4年後に検査案内を送付し、希望者に対して脳画像検査および認知機能検査を実施し、日常における活動状況と脳画像および認知機能の横断的、縦断的変化について解析した。本研究の結果、横断解析において、脳萎縮と年代の関連が認められ、60歳代においては、知的活動の実施状況と脳の萎縮と有意な関連が見られた。事前検査と事後検査を比較した結果では、脳萎縮と認知機能における加齢変化が認められた。日ごろの地域密着型の戸外活動と認知機能および脳萎縮との関連を調べた結果、一部の認知機能と身体活動量の変化、遂行機能と活動実施において有意な差が認められた。本研究により、多様な活動実施が認知機能の低下を抑制される可能性が示唆された。
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PLOS ONE
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