研究実績の概要 |
脳幹の中枢化学受容器は、CO2センサーとして、呼吸制御に重要な役割を果たしていることが知られている。申請者は、先行研究の検討と自身の予備研究から、中枢化学受容器へのCO2刺激が、呼吸亢進を招くだけでなく、四肢筋の運動を脊髄レベルで修飾している可能性を見出している。本研究では、脊髄運動ニューロンの自律性活動を反映する自律持続性筋活動(self-sustained muscle activity, SSMA)を下腿筋で評価することによって、中枢化学受容器と運動制御の関連を明らかにすることを目的としている。検討項目は、1)中枢化学受容器に対するCO2刺激強度とSSMAの関係、2)中枢化学受容器のCO2感受性の違い(個人差)がSSMAに及ぼす影響、3)呼吸筋活動がSSMAに及ぼす影響、4)中枢化学受容器に対するCO2刺激が足関節角度調節およびその感覚に及ぼす影響、の4つである。当該年度は、上記検討に関する予備研究の結果を論文化し、Respiraotry Physiology & Neurobiology(2018, 24-30 )に掲載された。そこで報告したように、現時点では、下腿三頭筋におけるSSMAが、正常呼吸条件に比べてCO2再呼吸条件において有意に増強することを確認した。現在、上記項目2)および3)の検討を進めている。
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