研究実績の概要 |
脳幹に存在する中枢化学受容器は二酸化炭素(CO2)センサーとして呼吸制御において重要な役割を担っている。本研究は、この中枢化学受容器が、呼吸制御だけではなく、四肢筋の運動を脊髄レベルで修飾している、つまり運動制御においても一定の役割を担っているという仮説の検証を目的としている。 本研究では、脊髄運動ニューロンの自律性活動を反映するとされる自律持続性筋活動(self-sustained muscle activity, SSMA)をヒラメ筋から導出し、そのSSMAが低酸素ガス(O2: 15.8%, 正常CO2)吸入および過換気の影響は受けないが、外部死腔(1500 mL)付加呼吸(低酸素+高CO2+過換気の混合)および高CO2ガス(CO2: 4%, O2: 21 %, N2バランス)吸入により増加することを示すデータを昨年度実施した実験により取得した。本年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、計画していた実験を実施することができなかったため、昨年度に得られたデータの分析および論文化を中心に研究を進めた(論文は投稿中)。それと同時に、研究の目的をより精緻に達成するために計画されていたCO2濃度の違いおよび高CO2暴露の時間の影響を検討するための実験、さらには、行動面(力発揮や運動リズムなど)への影響を検討するための実験に関して、そのプロトコルの詳細を確定することを目的に予備実験を進めた。
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