自分の顔は自己を象徴する特別な存在である。実際、ヒトの脳には自己顔を専門的に処理する高次視覚領域(自己顔領域)が存在する。成人では、この自己顔領域が右半球に側性化して存在することが知られている。本研究では、自己顔領域がいつ、どのように形成されるのかを調べた。小学生、中学生、成人を対象に自己顔や他者顔に対する脳活動を機能的MRI により計測すると、自己顔領域は10代半ば以降に右半球に形成されることが分かった。また、この領域は10代前半であらゆる顔に反応するようになるが、10代半ば以降になると他者顔への反応が抑えられることで自己顔への選択的な反応が出現するという形成過程を辿ることが明らかになった。
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