研究課題/領域番号 |
17K01620
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
村岡 哲郎 日本大学, 経済学部, 准教授 (30398929)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 伸張反射 / 肢間 / 長潜時 / 短潜時 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,二肢協調周期運動における長潜時伸張反射の役割を明らかにすることである.本年度ではまず,一定姿勢を維持している際の両上肢間の反射機構を調べるための実験を行った.これまでの研究では,ヒト下肢筋を対象として,一方の肢への外乱(筋の伸張)が反対側の筋に短潜時・長潜時の反射を引き起こすことが示されてきた.しかし,ヒト上肢筋を対象とした研究ではそうした肢間の短潜時反射は示されておらず,また,運動目的が両上肢を統合したものである時にだけ肢間の長潜時反射が生じることが示されていた.本年度の研究では,これまであまり対象とされてこなかった両上肢の肩筋(伸筋:三角筋後部,屈筋:大胸筋)を対象とした.また,反射を調べる通常の研究において用いられる反復回数(15~30回/条件)では反射成分が雑音に紛れて検出できない可能性があるため,反復回数を大幅に増やして132回とした.実験の結果,36-50msの潜時で外乱を与えていない反対側の肩関節伸筋および肩関節屈筋筋に短潜時反射が認められた.また潜時が50-100msの長潜時反射も認められた.上肢間に短潜時伸張反射を引き起こす神経経路があることはサルを用いた研究から示唆されてきたが,ヒトを対象として明らかとしたのは本研究が最初である.外乱の方向と反射様相の関係から,上肢間の短潜時反射は姿勢維持(同名筋の共収縮)に関連することが推察された.一方,長潜時の反射については,両手での物体操作や体幹を安定させることに関連することが推察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
両手動作を対象とした研究の第一歩として,両手での姿勢維持課題における肢間反射の様相を明らかにすることが出来たため,研究は概ね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
研究当初,両手協調動作における長潜時反射の役割を探ることが主目的であったが,先行研究を詳細に調べてところ,片手動作においてさえ長潜時反射の役割に関する研究が不十分であることがわかった.そこで,両手協調動作をいきなり研究対象とはせず,まずは片手動作における長潜時反射の役割を探る研究を次の研究とすることにした.
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次年度使用額が生じた理由 |
特別な機器を購入せずに交流ノイズを低減させることに成功したため予定よりも少ない研究費執行額となった.次年度使用額は分析ソフトや実験消耗品等に使用する予定である.
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