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本年度は，二年目に行われた肩関節伸展のみによるリーチングにおける長潜時伸張反射の調節が，肩関節屈曲においても同様にみられるかを確かめた．リーチング方向以外の実験条件を同様にした実験の結果，反射ゲインはゴールに近づくほど大きくなるように調整されるという肩関節伸展によるリーチングと同様の結果が得られ，これは最適フィードバック制御モデル（optimal feedback control model）を支持する結果であった．次に，こうした片手リーチングの動作が一定姿勢を保持する対側肢の反射活動様相にどのような影響を及ぼすかを調べることを目的として，片手リーチング（肩関節伸展）中の対側肩筋の反射活動様相を調べた．これは両手協調運動時に，両手間にどのような相互作用が生じるかを明らかにすることを目的としている．実験の結果，一定姿勢を保持する対側肢筋の反射ゲインはゴールに近づくほど小さくなるように調整されるという，リーチング肢とは逆の結果が得られた．しかしながら，一定姿勢を保持する肢は，反対則の片手リーチングによって不随意的な一定の動きをしていた．そのため，リーチング肢の反対側に生じる反射ゲインの調節は，リーチング肢からの影響によるものではなく，一定姿勢を保持してるはずの肢に生じた不随意的な動きによるものである可能性が否定できない．今後実験設定を工夫し，リーチング肢の反対側の肢が動かないようにして反射ゲインがどのように調節されるかを明らかにする必要がある．
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