研究実績の概要 |
変形性膝関節症のリスクファクターに、膝関節マルアライメント(内反膝・外反膝)が挙げられており、我が国では内反膝の割合が高いことが報告されている。膝の形状の決定時期は15歳頃であることが報告されており、成長期において膝マルアラメントを予防するための指針を作成することが出来きれば、中高齢期の膝 OA を予防することが出来、医療費削減にも寄与できるのではないかと考えた。 本研究の最終年度は、兵庫県内の中学校3年生(14歳-15歳)の生徒77名(男子:46名,165.8±6.3cm, 52.9±10.1kg女子:31名,156.8±5.4cm,47.4±6.5kg)を対象に、前額面上の膝アライメントを分析した。 被験者には我々が製作した膝アライメント測定用の装置上で安静立位を保持させ、前額面背部より写真を撮影した。撮影した写真をPCに取り込み、大腿骨内顆間、足関節内果間の距離を測定した。その後、Knee Alignment Index(KAI(mm)=大腿骨内果間距離-足関節内果間距離)を算出し、被験者の膝アライメントの傾向を分析した。 KAIの平均値は男子9.82±21.07、女子25.25±23.85であった。KAIの割合は、-40~-21:男子6.5%・女子16.1%、-20~0:男子28.3%・女子16.1%、0~20:男子32.6%・女子32.3%、21~40:男子23.9%・女子16.1%、41~60:男子8.7%・女子29.0%、61~80:男子0%・女子6.5% であった。 先行研究から、成人においては男女とも内反膝が多いことが報告されているが、14-15歳の段階においては、女子では既に内反膝傾向が高くなっているものの、男子では顕著ではない。これが、男女間のPHVの差によるものか、または生活習慣、運動習慣が関係するのか更に詳細に検討する。
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