本研究の目的は、球技領域(ゴール型)における学習者の躓きとその手立ての在り方について検討することであった。特にゴール型のうちバスケットボールを取り上げ①パスをフリーな位置で受けられる人と受けられない人の違いを検討したり、②ランニングシュートを決められる人と決められない人の特徴を検討した。また、それぞれにどのような手立てを講じればそれらの技能を習得できるようになるかについても検討を行った。 フリーな位置でパスを受けられる人と受けられない人の違いは状況判断の違いに焦点を当て、選択的注視、状況の認識や判断(思考内容)の枠組みで両者の違いを検討した。分析した結果、両者に共通していたのはボールを受けようとするときに、ボール保持者やそのマークをしている相手を注視している点であったが、決定的な違いは自分をマークしている人の位置や動きを注視しているかいないかにあることが明らかになった。また、注視した点からどのような状況認識及び判断を行うかについては、ボールを受けられる人は受けられるパターンの知識を有し明確に活用しながらプレーするのに対し、ボールを受けられない人はそのような明確なパターンに関する知識を有していないことが明らかになった。 ランニングシュートを決められる人と決められない人の違いは、ジャンプする際の跳躍方向に明らかに違いがあることが分かった。つまり、決められる人はジャンプする際に上方へ跳躍するのに対し、決められない人は前方へ跳躍する傾向にあることが分かった。 以上のようなことから、フリーな位置でパスを受けられない人に対しては、マークを外してフリーな位置でボールを受けられる状況を学習させ、自分をマークしている人を注視しながらプレーするよう指導した。ランニングシュートを決められない人に対しては上方へジャンプしてシュートする動作改善のための指導を行った。これらの指導は有効に機能した。
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