研究実績の概要 |
本年度は昨年度の後半より引き続き、あらかじめ運動を計画することの重要性が異なることがEnd-state comfort effect(ESC効果, 最終状態の安楽効果)の出現に及ぼす影響について、定型発達児・者及び知的障害児・者に対して独自に考案した課題を用いることから検討した。また、課題遂行の方法を事前に呈示することにより、知的障害児・者におけるESC効果が促されるのかについても検討した。 測定の結果、定型発達児においては、あらかじめ運動を計画することの重要性がさほど高くない状況では、ESC効果の出現が低下することが明らかとなった。一方、知的障害児・者においては、これまでの検討と同様にESC効果が認められることは少なかった。誤反応の分析を行ったところ、知的障害児・者においては事物に対する習慣的動作が抑制されえないことから、ESC効果の未出現が生じている可能性が示唆された。これは事前に課題を遂行する方法を直接的に呈示しても、知的障害児・者の反応に変化が認められなかったことからも確かめられる。 本年度は関連する学会で研究発表を行うと共に、定型発達児・者に対する測定結果をまとめたものを大学紀要に掲載した。現在、その他の研究結果についても関連する学術誌に投稿中である。
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